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月光の魔狩  作者: Σ@Code狩人
第一部 始動
3/38

黄昏に吼えし遠吠え

魔物の声は名前をつけず「」だけで表してます。今回は狩りの回。

天高から飛び出した秋斗達は直様バリアの外に出た。


このバリアは大雑把に言えば虫除けみたいなものだ。魔物のいる別次元に干渉し、人が多く集まる場所に魔物が入りこむのを防ぐ。

しかし流石に限度がある。バリアを突破できる新種の魔物や、攻撃により脆くなった時に魔物がくればいとも簡単に突破される。そうなる前に、魔狩は魔物を狩るのだ。


今回のメインターゲットはウルフリーダー。ウルフの群れを統率する獣類だ。新入りの魔狩が一番最初に戦う中型魔物ともいえる。

今回のウルフリーダーは大規模なウルフの群れを率いており、とても新入りには任せられない状態だと言う。秋斗達もウルフが群れた時の手強さをこの身で体験しているのですぐ納得ができた。



指定の場所に到着。夕焼けが空き地を照らしていた。今のところウルフの姿は見えない。


ウルフは現実の狼同様、隠れて獲物を狙うチャンスを伺う習性がある。油断は出来ない。


しかし、彼にとってそんな事は関係なかった。


冬樹「・・・秋斗。何体ぐらいいるか感じ取れるか」


秋斗「任せて・・・」


そう言って秋斗は精神を集中させる。


彼は地獄耳に敏感肌という、とても神経が鋭い体質だ。それはこういう狩りの時に役に立つ。

彼は感覚や物音である程度のターゲットの居場所を突き止めれるのだ。

勿論、今みたいに精神を集中しなければ出来ないが。


秋斗「・・・物音の大きさから、まだリーダーはいないね。ウルフが10数匹くらいかな?」


冬樹「それだけ分かれば十分だ」


そう言うと冬樹は背中に収めていた双剣を取り出した。


黒曜石が高密度で固まった「黒曜鉱」と呼ばれる鉱石に、黒金を混ぜ、加工した漆黒の双剣。黒曜石本来の斬れ味の良さと、黒金の硬さが絶妙なほどマッチしたこの武装が、冬樹の武器だ。


冬樹が武器を抜刀すると、それに答えるかのようにウルフが一匹飛び出し、次々に現れた。先程秋斗が探知した通り、10数匹はいる。


他のメンバーも自分の武器を取り出した。


秋斗の武器は両刃の片手剣と盾が付いた手甲。


里依紗の武器は刃が付いた弓と矢じりが長めの矢。「斬弓」と呼ばれるものである。


浩二の武器は刃渡りが長めの長剣。


彩女の武器はスパイク付きの手甲。


当夜の武器は紹介したが2丁拳銃。


それぞれの細かな説明はまた後の話としよう。


冬樹「皆・・・行くぞ!」


冬樹の掛け声で、人間と魔物、両方が駆け出した。



秋斗「さぁ、こい!」


「ウォォォ!!」


秋斗が叫びながらウルフの群れに突っ込む。

そして一体にぶつかる寸前で身を翻し、回転の反動でウルフを斬った。


「キャイン!」


当然ウルフが突っ込んだ勢いと秋斗が回転した勢いが重なりダメージとなったため、ウルフは軽く吹っ飛び、消滅した。


魔物は元から別次元の生き物の為か、討伐すると牙や皮などを残して消滅する。残った牙や皮といった素材は、武装の改造に使う。


呆気なく一匹倒されたからか他のウルフも一瞬たじろぐ。秋斗はそのスキを見逃さなかった。


秋斗「ほらほら、どこ見てるの?」


一匹、また一匹、次々とウルフを迎撃していく。

軽く無双状態だった。


里依紗「せい!やあ!」


彩女「ふっ!はっ!」


一方里依紗と彩女の女性陣も負けじとウルフを倒していた。彩女が接近し、ウルフを殴る。里依紗は遠距離から彼女を援護する。

たまに里依紗にウルフが近づくが、刃付きの弓で切り裂けるため、そこまで被害が及ぶことはなかった。


しばらくウルフを倒していると、奥からウルフの群れが新たにやってきた。伊達に大規模な群れというだけあって、10数匹で終わるはずもなかった。しかしリーダーの姿はなかった。


5匹ほど、浩二に迫っていた。しかし浩二は長剣を納刀したまま動こうとしない。浩二は呆気なくウルフに囲まれてしまった。

普通こうなると無傷ではすまない。下手すると呆気なく死ぬ。

そんな状態にいてもなお、浩二は動じなかった。


「ヴゥ・・・ガウッ!!」


一匹のウルフが浩二に飛び掛り、他のウルフも一斉に飛び掛った。


しかし、浩二は待ってましたとばかりに長剣の柄に手をかけ、


浩二「ふぅぅぅ!!」


抜刀と同時に回転斬りを放った。


長剣のリーチを生かし、全てのウルフを巻き込んだ。

一見単純に見えるが、少しでもタイミングが狂うと全て倒しきれない。結構な芸当なのだ。


当然斬られたウルフは吹っ飛び、消滅した。


冬樹と当夜も負けてはいない。先程の里依紗と彩女のように、前に出る者と遠距離から援護する者に別れた。

冬樹は細かなステップを使ってウルフとの距離を縮めたり、開けたりしながら双剣で切り裂く。当夜は2丁拳銃でウルフを連射する。


こうして討伐したウルフは30匹くらいになった。


すると奥から数匹のウルフを従えた大きなウルフが現れた。


ウルフの2、3倍はある体。

鋭く尖った二本の牙。

そして何より、ウルフよりも目立つ紅いたてがみ。


そう、今回のメインターゲット、ウルフリーダーだ。


当夜「ようやくリーダーのおでましかい」


冬樹「秋斗!里依紗!彩女!三人はリーダーの所に行け!残りのウルフは我達が相手をする!」


秋斗・里依紗・彩女「「「了解!!」」」


冬樹はあらかたウルフを討伐し、手が空いていた三人にウルフリーダーの討伐を命じた。


冬樹「さて、お前らは我が相手だ」


武器を構え直し、ウルフの群れに向かった。




「グルルルルル・・・」


警戒心剥き出しで三人を見つめるウルフリーダー。そして三人を捉えた時、


「ウオォォォォォン!!!」


天に向かって遠吠えをした。


すると何処からともなく、ウルフが現れた。


これはウルフリーダーの特技の一つ。ウルフリーダーの遠吠えはとても響くため、遠くのウルフにも聞こえるのだ。


しかし彼らにはなんの問題はなかった。


秋斗「はあぁぁ!」


里依紗「やあ!てい!」


彩女「おらおらおら!」


呼んだウルフは次々と三人に倒されていった。


秋斗「うおおお!」


そして秋斗が里依紗の援護を受けながらウルフリーダーに向かう。


ウルフリーダーは右前足を振り上げ爪を剥き出し、振り下ろした。しかし秋斗の盾に呆気なく防がれてしまい、


秋斗「見切った!」


秋斗のカウンターを食らうこととなった。


「ウオオオ!」


しかし流石はリーダー。そう簡単には屈しない。今度は秋斗を飛び越え、里依紗の元へ駆け出した。


秋斗「里依紗!」


里依紗「わかってる!」


里依紗はすかさず斬弓を構える。

そして牙を立てたウルフリーダーを切り裂いた。


「ギャイン!」


その衝撃でウルフリーダーは吹っ飛ぶ。しかしまだ討伐にはいたらない。

体制を立て直そうとウルフリーダーが動こうとしたその時。


彩女「せいっ!」


「ギャン!?」


何時の間に懐にいた彩女に殴られ、また体制を崩した。そして


秋斗「この一撃で・・・とどめ!」


飛び上がった秋斗がウルフリーダーに剣を突きたてとどめを刺した。


「ウオォォォォン……」


力なく吼え、ウルフリーダーは消滅した。


リーダーが倒されたからか、残っていたウルフは逃げ出した。




秋斗「終わった・・・」


メインターゲットを討伐し、冬樹が報告している間、秋斗達は念の為武装を構えながらもくつろいでいた。しかし、


冬樹「な…?……分かっ…みん……話………み…」


秋斗には冬樹の声が聞こえた。


里依紗「どうしたの?アッキー」


聞き耳を立てている秋斗に里依紗が近づいた。


秋斗「なんかあったみたいだけど・・・まさか」


冬樹「皆、集まってくれ」


秋斗が何か考えていると、冬樹が皆を呼んだ。


冬樹「天高に任務の報告をしていたのだが・・・まずい事に、近くでまた別の魔物が確認されたようだ」


秋斗「乱入者か・・・」


これが、秋斗が考えていた事。

乱入者とは、ターゲットとして定めておらず、出撃時確認されなかった中、大型魔物のことだ。今回のように完了後に出る時もあれば、ターゲットと戦っている最中に現れる事もある。

いずれにせよ、戦局を一気に変える厄介な奴だ。


当夜「その乱入者の正体はわかってるのか?」


冬樹「いや、暗くてよく見えなかったらしい。が、大型なのは間違いない」


浩二「とりあえず、何が乱入してきたのか確認しよう。作戦を立てるのはそれからだ」


浩二の提案に皆は頷き、駆け出した。






乱入者をみつけたのはそれから一分も経ってない時だ。


当夜「ちっ・・・まさかこいつとはな・・・」


浩二「ああ・・・こいつは厄介だ・・・」



彼らの目の前には先程のウルフリーダーよりも3倍はある大きさをもつ、中世のドラゴンを思わせるいでたちをもつ魔物。


彩女「こいつは・・・」


冬樹「まさか我でもこいつとは思わなかったな・・・」


黒に近い体。大きく、尚且つ鋭く尖った爪。

小さ目の二本の角。


里依紗「秋斗・・・こいつは・・・」


秋斗「うん・・・」


奴の正体は・・・


「グワオォォォオオオ!!」



秋斗「・・・ニーズヘッグ」


彼らの因縁の相手だった。

少し無理やり?気にしないで!

次回は乱入者であるニーズヘッグ戦。

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