密林の王者
龍星「・・・なんだろう、ものすごく冬樹のチームに向かって行きたい気がするんだが」
浩二「どうした?龍星さん」
この時、冬樹達の所ではつぐみが竜に狙われていた。
所変わってこちらは龍星のチーム。
当夜「今回のターゲットは強いのか?」
浩二「ダイコングだったか?コング、てだけあって恐らくゴリラ型の獣類だと思うが」
龍星「俺は戦った事があるから言えるが、そんじょそこらの獣類の魔物よりだいぶ強い。今冬樹達が行っているワイバーンスクォーレルと同じランクだしな」
そう言っていると、二体ほど人並みの大きさの猿型の魔物が草むらから出てきた
楓「こいつらは?」
龍星「コングだ。ダイコングの取り巻きだよ」
「ウォォ!」
浩二「うおっ!」
いきなり襲いかかってきたコングの攻撃を、間一髪かわした。
龍星「気をつけろ。こいつらの腕力は強い。伊達に異名が剛腕獣ではないぞ」
彩女「腕力が強い、て、例えるならどれくらい?」
龍星「ん~俺くらいかな?こいつらの場合は」
浩二「そうとうじゃないか!」
この会話の間にも二体のコングは斬り伏せられていた。
当夜「小型のこいつでも龍星さん並の力がある、て事はダイコングの腕力はどれくらいなんだ・・・」
龍星「奴はよく木を引っこ抜いて武器替りにするからな。その辺の木一本抜くくらいの腕力はある」
楓「なんかとんでもない奴の討伐引き受けちゃった気が・・・」
龍星「とはいえ動きの速さは並くらいだ。それに遠距離攻撃の手段はあまりないから、楓と当夜にとっては都合がいいかもしれん」
浩二「・・・俺と彩女と龍星さんは?」
龍星「・・・少々危険な目にあうかもしれん」
彩女「・・・向こうのチームが羨ましく思える・・・」
こっちも大変だよ!by秋斗
当夜「だいぶ歩いたが、奴のテリトリーは本当にこの辺りなのか?」
龍星「ここに来るまでにマーキングを何個か見たろ?近くにいるのは間違いない」
楓「にしても凄いよね。マーキングがへし折れた木、て・・・」
楓の言うとおり、周りは一定の感覚で木がへし折れていた。
ダイコングは縄張り意識が強く、犯すものなら何であろうと勇敢に立ち向かう習性を持つ。またウルフ種同様、群れも作る。
ダイコングが強者に立ち向かう姿は絵にもされており、その荒々しさと勇ましさで人気がある。
そしてそんなダイコングにつけられた二つ名は「密林の王者」。強者の証である。
ただそんな良いイメージが多いダイコングだが、たまに無駄に大きなテリトリーを作る者もいる。そうなると、人間の生活圏に近くなり、被害者も多くなる。
今回の依頼も、テリトリーを広げすぎたダイコングの討伐だ。浩二達がキャンプ場を出てテリトリーに入るまでには25分くらいかかった。近いとは言い難いが、遠いとも言えない。
彩女「・・・なんか気配が濃くなってきたよ」
浩二「だな。そろそろ群れが俺たちの気配を察知しているのかもしれない」
浩二がそう言ったその時、浩二達はコングの群れに囲まれた。
奥にはどのコングよりも大きい身体を持つものが一体。
逞しい腕、
発達した二本の牙、
見た感じふさふさとした灰色の毛並み。
他のコングとは比べ物にならないくらいの威圧を出していた。
「ヴォォォォ!!」
奴が浩二達のメインターゲット、剛腕獣ダイコング。
ダイコングが天に向かい叫ぶと、周りの取り巻きが浩二達に襲いかかってきた。
龍星「ふん!」
浩二「ふぅぅ!」
彩女「せい!おら!」
当夜「1、2、3、4!」
楓「はぁ!」
それぞれが勇ましく叫びながら、当夜は弾数を数えながらコングを倒していく。コング自体はタフではないのですぐ片付いた。
すると奥からダイコングが腕を大きく振りかぶり、飛びつきながら殴ってきた。
龍星「甘い!」
狙いは龍星だが、予備動作が分かりやすいためかあっさり避けられた。
ダイコングは直様着地し、体制を整える。
そして今度は腕を振りながら方向転換をした。
浩二「おっと!」
危うく浩二が腕にあたりかけた。
浩二達がダイコングと対峙している間に、当夜が周りのコングを討伐し終えた。
直様ダイコングに狙いを定め、引き金を引く。
当夜「龍星さんの言うとおり、これなら安全に攻撃できるな」
楓もさっきまでは近接状態でコングと戦っていたが、今は二つの刃をくっ付け弓でダイコングを撃っていた。
楓の武装は斬弓の中でも特殊な部類に入る。
楓の武装は持ち手が分かれ、双剣として使う事もできるのだ。
また矢は神々の力によって光で作る事ができる。実家が神社である楓ならではの武装だろう。
こうして当夜と楓が狙撃を続けていると、ダイコングが辺りを見渡し、少し短めの木を見つけて近寄った。
龍星「気をつけろ!木を武器にするつもりだ!」
戦った事がある龍星にはダイコングの行動が何を意味するかわかっていた。
そして予想通り、ダイコングは見つけた木を勢いよく引っこ抜き、肩に担いだ。
浩二「うお~・・・」
彩女「す、凄い・・・」
その様子を初めて見た浩二達は呆気にとられていた。
ダイコングは持った木を振りかぶり、当夜めがけ投げつけた。
当夜「ぬおぉ~!!?」
ギリギリしゃがんで避ける。反応が遅ければ今頃天に召されていただろう。
投げられた木はそのまま当夜の後ろにあった木に直撃し、大きな音をたてながら崩れ落ちた。
当夜「怖え~・・・」
そう呟きながら体制を整える。それと同時に2丁拳銃を胸の前でクロスさせた。
当夜「そっちがそのつもりならこっちもとっておきを見せてやるよ・・・」
楓「彼は何をしようとしてるの?」
浩二「特殊技能だよ。当夜の特殊技能は久々に見るな」
当夜「いくぜ!武装換装!」
当夜が叫んだ瞬間、光に包まれた。
光が晴れた時に当夜が持っていたのは2丁拳銃ではなく、アサルトライフルだった。
当夜の特殊技能、ウェポンチェンジは名の通り武装の種類を変える事ができる。
最初にもっている武装も含め最大5つまで登録でき、換装する武装はランダムで決まる。
当夜は全て銃系の武装で登録している。
当夜「リロード完了!派手にぶっ放すぜ!」
浩二「俺達を巻き込むなよ!」
当夜「そのくらいはがってん承知!」
当夜は引き金を引き、大量の弾を撃ち出す。
放たれた弾は全てダイコングの脚にヒットした。
「ヴオォォ!」
ダイコングはバランスを崩し、転がる。
何回か転がった後、体制を直し、当夜に向かって拳を構える。
しかしその構えた拳も当夜のアサルトライフルの連射によって弾かれた。
龍星「その調子だ!このまま押し切れ!」
当夜「任せな!」
一回リロードし直し、また連射する。
状況は当夜達が圧倒的に押している。
しかし彼らと獣は気づかない。
遠巻きから彼らの対峙を見つめる龍の存在に。
次回は秋斗側に戻ります。




