表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR

「テストの選択肢をどれにするか」で、命がけの心理戦を繰り広げる高校生。

作者: 朝霧おもち
掲載日:2026/07/24

高校生活最後の定期テスト。


数学の『ラスボス』的最終問題【問10】を前に、俺、佐藤雄二も御多分に漏れず苦しんでいた。


「くそっ、見えてこねぇ……」


目の前には、白と黒の魔陣——『4択のマークシート』が鎮座していた。


設問は、見たこともない悪魔のような微分積分。

解法などとうに忘れた。俺の手元に残された武器は、運と直感、そして鉛筆のみ。


「①、②、③、④……どれだっ!?」


俺の脳内で、超高速の心理戦が繰り広げられる。


待て、冷静になれ。一度鉛筆を置き、残り僅かな残り時間を示す時計を睨む。


よし、問1から問9までのマークを思い出せ。


『①・①・③・④・①・②・①・①・①』……


ゾッとした。冷や汗が背中を伝う。


①多すぎだろ……


いくらなんでも全10問中6問が『①』なんてことがあってたまるか!

だがしかし!出題者の山田数学教諭は、極めて陰湿な性格で知られている。


フッ……誘っているのか山田……?


『流石に次は①じゃないだろう』という受験生心理を逆手に取り、4連で①を放ちに来ているのか……!?


地獄から手招く山田。その手中にはまってしまおうものなら、アリジゴクのように抜け出せない永遠の迷宮が待ち受けている……


はっ、集中集中。


これはやはり①なのか?


いや、違う!


『深読みさせて①を選ばせ、正解は④』という裏の裏をかいた二重トラップの可能性が高い!


「くっ……! 答えは④なのか……!?」


その時、右隣の席から「カリカリ……」と、鉛筆の軽快な音が響いた。


学年首位の天才、神谷だ。

チラリと視線をやると、神谷はすでに鉛筆を置き、余裕の笑みで天井を仰いでいる。


神谷……! お前の右手の手首の角度、鉛筆の動かし方……!


俺は神谷のマークシートを直接見ることなく、彼の鉛筆の振動痕から回答を割り出す『神の目』を発動させた。


カンニングではない、決して。


集中しろ、見逃すな、その微細なる振動の一つ一つに至るまで……


あの二連打の動き……! マークしたのは……『③』だ!


な、なんだと……!?


①でも④でもなく『③』だと……!?


「なるほどな山田ァ!!」


俺は心の中で絶叫した。


①の連続で焦らせ、④に誘導する裏の裏……そのさらに裏、『結局、無難な③が正解でした』という心理的盲点を突く三重ブラフ!


やった……!


これだ!これに違いない!

山田ァァ!この勝負、俺の勝ちだぁぁぁ!


テスト監督に訝しげな目で見られたがまぁいいだろう。


2週間後。


授業が終わり、山田教諭が教壇から降りてくる。

そして、黒板の端に「定期テスト解答」と書かれたプリントをペタリと貼り付けた。


俺は勝利を確信しながら、自信満々に黒板を見上げた。


そこには、赤ペンでこう書かれていた。


【問10】※採点除外

※印刷ミスにより、正解の選択肢が存在しませんでした。全員に加点します。


「……ぶはっ!!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ