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いじめ捜査官

作者: 吉屋 沿道
掲載日:2026/02/12

『人をいじめるようなやつに、未来なんかあってたまるか』


『いじめは犯罪だ!さっさと捕まえろ!』


 そんな国民たちの声を聞き入れ導入された、いじめ捜査官。

 彼らは、世の中のいじめを取り締まる正義のヒーローだ。

 そして、そんな正義のヒーローのうちの一人、私、畠山清次郎は、今日もまた、巡回に勤しむ。

 巡回中、一般生徒からのタレコミがあった。

 曰く、


「三組の陽太くんが、加賀くんにいじめられてる」


 らしい。

 基本的に、我々は令状を受けなければ動くことができない、しかし、現行犯であれば、即刻、護送することが可能である。

 なので、早速三組に小型のカメラ、聴音機を設置、給食のあまりのコッペパンと牛乳で、第三会議室のモニター前に張り込む。

 ほとんど待つことなく、すぐだった。


「陽太のバーカ!」


 加賀くんは陽太くんを罵倒し、丸めた紙を投げつけた。

 周りの者たちも、何も言わず、黙って机に向かっている。

 これは、現行犯である。

 第三会議室から急ぎでて、三組のドアを開ける。


「いじめ捜査官、畠山清次郎である!加賀くん、君を護送対象とする!」


 一瞬、クラスが静寂に包まれる。

 初めに音を出したのは、加賀くんの小さな弱々しい声であった。

 泣いても無駄だ、加賀くん。

 君は行くべきところにいかなければならない。

 私は山を下って、加賀くんを送るべき場所に送り届けてから、また巡回を始めた。

 うむ、どこにも異常なしだ。

 第三会議室に戻ってくると、モニターが付けられたままになっているのに気づいた。

 後で誤っておかねば。

 おや?

 これは、陽太くんかな?


「加賀のやつ、ほんとに連れてかれたなぁ!捜査官のやつもバカだよなぁ!」


 思わず、口角が上がってしまう。

 この性格は直さなければならないとも思う。

 しかし同時に、こうも思うのだ。

 やはり、いじめ捜査官、もとい、この『こども隔離監獄』の看守である私、畠山清次郎は、正義のヒーローである。

 と。


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