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異世界ギャブル勇者〜確率を超えて〰️  作者: 海木雷


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その夜

坂田はその晩、粗末な宿の藁布団に横たわりながら、路地裏での出来事を何度も思い返していた。


あのとき、確かに銀貨一枚を差し込み、リールを回した。

目に浮かんだ絵柄は「小役」。揃った瞬間、あのごろつきの動きが一瞬止まり、隙を突いて倒せた。


――考えようによっては、ただの幸運だ。

しかし坂田には分かっている。これは単なる偶然ではない、と。


「……やっぱり、このスキルは俺の生きる道だな」


彼は小さく呟いた。


普通に剣を振るえば腕力で負ける。

魔法を学ぼうにも資質も知識もない。

だが、この力だけは確かに彼の手に宿っている。


問題は、その代償だった。

財布の中に残っているのは、昼間の取引で得たわずかな銀貨。

食事、宿代、そして明日の生きる糧を考えれば、そう何度も無闇に回せるものではない。


だが――命を落とすよりは安い。


坂田はそう割り切った。

そして決める。


「明日、冒険者ギルドに行こう」


護身用に過ぎなかったはずの力を、今度は「生業」として試すときが来たのだ。

剣も魔法も持たぬ自分が、この乱世を生き残るには――

唯一無二の“確率操作”のスキルを、戦場で証明するしかない。


胸の奥で、かすかな高揚感と不安が入り混じる。

坂田は目を閉じ、世界のどこかで再びリールが回る音を幻聴のように聞きながら、深い眠りへと落ちていった。

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