報告
――冒険者ギルド・受付カウンター。
真時たちが詰所から受け取った証明書を差し出すと、受付嬢は慣れた手つきで書類を確認した。
そして、少し驚いた表情を見せる。
「祠の件、確かに確認しました。……それにしても、“神が怪物化する”という情報は、王都にとって非常に重要です。警備隊からも報告が上がっていますが、あなた方の証言が決定打となります」
受付嬢は後ろに下がり、しばし帳簿を確認すると、机の上に置いた革袋を押し出した。
「当初の報酬は銀貨三十枚でしたが、追加の情報料が加算されました。最終的な報酬は――金貨五枚です」
カウンターの上に置かれた袋は、ずしりと重い。
バルドが思わず目を丸くした。
「ご、金貨五枚だと!? こりゃあ大仕事じゃねぇか!」
ユリクも感心したように袋を覗き込む。
「祠の件はただの依頼じゃなく、国の脅威に関わることだったんだな……」
レオンが腕を組み、真剣に頷いた。
「それだけ俺たちの仕事が認められたということだ。胸を張って受け取ろう」
そんな仲間たちの様子を見ながら、真時は袋を手に取り、苦笑いを浮かべる。
「はは……でもさ、俺のスキルで使った分を考えると……結局、赤字なんだよな」
一瞬、仲間たちがぽかんとした顔を見せ、それからバルドが大笑いした。
「赤字だぁ!? 命張って稼いだ金だぞ、細けぇこと言うな!」
ユリクが肩をすくめ、レオンはわずかに口元を緩める。
仲間たちの笑い声が広がり、真時もつられて笑った。
――命懸けの戦いの末に手にした金貨五枚。
それは何よりも、この仲間たちと生きている証のように感じられた。




