ゴブリン一掃
――ゴブリンの第二波が、森の影から雪崩れ込む。
前線ではレオンが盾で必死に押さえ、バルドが咆哮と共に大剣を振り回し、ユリクの矢が矢継ぎ早に飛んでいく。
だが数は減らず、むしろ押し寄せる勢いを増していた。
「ちっ……持たねぇぞ!」
バルドが叫ぶ。
結界の内で坂田は、先ほど変換したメダルを見つめた。
「……なら、使うしかない!」
さらに周りにある死体からボロボロの剣や、棍棒をかき集め、
「変換!」
瞬間、ゴブリンの武器が光に砕け、メダルへと変わる。
坂田の掌には数枚のメダルが積み重なった
「……これで足りる!」
彼は全身の痛みを無視し、声を張り上げた。
「――スキル発動!《パチンコ》!」
時が止まる。
静止した戦場に、再び巨大なパチンコ台が姿を現す。
握ったメダルを一気に投入――メダルが数百発の玉になり、光の奔流となって盤面を駆け巡る。
――ドゥルルルルルッ……ジャキーン!
「7・7・7」
鮮烈な「大当たり」の文字が炸裂し、数千発の光玉が溢れ出した。
「……よし来たッ!」
光玉は結界をさらに厚く補強し、同時に矢となり、雨のように降り注いだ。
無数の光の矢が群れを穿ち、ゴブリンたちは叫び声を上げて次々と崩れ落ちていく。
時間が動き出した瞬間――
バルドが思わず目を見開いた。
「な、なんだ!? 敵が……一瞬で!」
ユリクは弓を下ろし、呆然と光の残滓を見つめた。
「……坂田……お前の力、どこまで……」
レオンだけが冷静に戦場を見渡し、短く言った。
「勝負は決した。……坂田のおかげでな」
坂田はその場に膝をつき、荒い息を吐いた。
「……はぁ……っ……これが……俺の、博打だ……」
胸の奥で焼け付くような痛みを感じながらも、彼は笑った。
新たなスキル《変換》を得て、初めて「自らの意志で流れを変えた」戦いだった。




