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異世界ギャブル勇者〜確率を超えて〰️  作者: 海木雷


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ゴブリン

――森を裂くようにゴブリンの群れが飛び出す。

十数体の影が牙を剥き、荷馬車を囲もうとした。


「構えろッ!」

レオンが大盾を突き出し、前方を塞ぐ。

「まとめて斬り飛ばしてやる!」

バルドの大剣が閃き、二体をまとめて地に伏せさせた。


「――はぁっ!」

ユリクは体に魔力を帯び、弓を引き絞り、鋭い矢を次々と放つ。

矢は正確に敵の急所を貫き、接近する前に二体を倒した。


その背後、坂田は短剣を握りしめ、銀貨三枚を取り出す。

「……いくぞ。《パチンコ》!」


硬貨が宙に舞い、時が止まる。

静止した世界にパチンコ台が現れ、銀玉が走り出す。


――カンッ、カンッ……!

盤面を転がる玉が鮮やかな光を放ち、

――ドゥルルルッ……ジャキーン!


「当たり……! 偶数当たりか!」


光の粒が弾け飛び、護衛対象の荷馬車を丸ごと包み込む。

さらに坂田自身の周囲にも、薄い光の膜が展開した。


――結界。


時が動き出す。


「なんだ!? 馬車が光ってやがる!」

バルドが驚きの声をあげる。


「結界……これで後衛は守れるな」

レオンは小さく頷き、前線へ集中する。


ユリクは矢を番えながら、坂田へと視線を向けた。

「……助かる! 後ろを気にせず撃てる!」


坂田は短剣を構え、結界の内側から仲間たちを見つめる。

「……こっちは任せろ。はぁはぁ、俺は護衛対象を守り切る!」


ユリクの矢が次々と飛び、レオンの盾が前線を支え、バルドの剛剣が敵を薙ぐ。

仲間を強化し、護衛対象を守る結界を張る――坂田の博打は、確かに戦況を変えていた。


しかし森の奥からは、さらに吠え声が響く。

第二波、さらに数を増したゴブリンの群れが現れる。


「……まだ来るか」

坂田は短剣を握り直し、胸の痛みを感じながら、結界の中で静かに息を整えた。


(ここで退けば意味がない……俺の力で、仲間を生かすんだ)


――戦いは、ますます激しさを増していく。


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