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異世界ギャブル勇者〜確率を超えて〰️  作者: 海木雷


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23/179

――夜。


冒険者たちで賑わう酒場の奥、四人は丸い木卓を囲んでいた。

樽から注がれたばかりの酒が泡を立て、香ばしい肉が皿いっぱいに盛られている。


「坂田、飲め!」

バルドが大ジョッキを押し付ける。


「いや、まだ本調子じゃ……」

と言いながらも、坂田は笑って受け取り、喉を鳴らした。

苦みと熱が胸を走り、体の奥に火が灯るようだった。


「ほら見ろ! こいつ、まだまだ元気だ!」

バルドの大声に、酒場中が笑い声をあげる。


レオンは少し離れた席で杯を傾け、低く呟いた。

「……だが、気を抜くなよ。あの魔獣一体だけで済んだから良かったが、また来るかもしれん」


ユリクが真剣な顔で頷く。

「確かに……あの夜の黒煙、まるで森の奥に潜む何かの前触れのようだった」


坂田は杯を置き、ゆっくりと三人を見る。

「俺の力は……長くは使えない。だが……それでも、仲間のためなら――」


「やめろ」

ユリクがきっぱり遮った。

「俺たち四人だ。お前一人で全部背負うな」


レオンも短く言葉を添える。

「……ああ。勝負は四人で賭けて、四人で拾う。それが筋だ」


バルドがジョッキをぶつけるように坂田の肩を叩いた。

「そういうこった! 命を張る時は、みんなまとめて張る。お前だけが特別じゃねぇ!」


坂田はしばし黙り、そして大きく笑った。

「……そうだな。俺たちは四人で一つだ」


酒場の喧騒の中、四つのジョッキが重なり、甲高い音を響かせた。


――その夜の笑い声は、長く街に響き渡った。


だが、森の奥では静かに蠢く影があった。

燃え残った大地の下から、じわりと瘴気が滲み出す。


次なる試練が、もうそこまで迫っていた。

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