新スキル発動
坂田は膝に手をつき、全身の痛みと吐血に耐えながら赤いメダルを握りしめた。膝はガクガクと震え、胸は焼けるように痛む。視界は赤黒く歪み、鼓動が頭の中で響く。
(……行くしかない……!ここで……すべて……賭ける……!)
坂田は手のひらの5枚の赤いメダルを見つめ、意志を集中させる。
1番――烈火の紅駿:3枚
3番――血影の黒駿:2枚
手のひらが熱く焼けるように疼き、吐血と全身の痛みが襲う。それでも坂田は目を閉じ、赤黒い力をメダルに注ぐ。
(……頼む……俺の勝負を……運命よ、味方してくれ……!)
赤黒く揺れる力が注がれると、五頭の馬たちは一斉に蹄を鳴らしてスタートラインを飛び出した。烈火の紅駿(1番)、雷牙の蒼駿(2番)、血影の黒駿(3番)、氷槍の白槍(4番)、轟土の金駿(5番)――全頭が全力で駆ける。
坂田は膝をつき、吐血と痛みに顔を歪めながら祈るように見守る。脚の震え、胸の焼ける痛み、喉の痛み……すべてが代償だ。
(……順位は……どうなる……!)
馬たちは互いに凌ぎを削る。烈火の紅駿(1番)が先頭に躍り出る。蒼駿(2番)が迫るがわずかに届かず、黒駿(3番)が影の如く追い上げる。白槍(4番)と金駿(5番)は全力で食い下がる。
ゴールラインを越え、順位が決まる:
1着――烈火の紅駿(1番)
2着――雷牙の蒼駿(2番)
3着――轟土の金駿(5番)
4着――血影の黒駿(3番)
5着――氷槍の白駿(4番)
そして、力を注がれた瞬間、賭けていない2番、4番、5番は光を失い、空気中で溶けるように消えた。1番と3番だけが赤黒い力を宿し、魔獣に襲いかかる。
烈火の紅駿は炎の衝撃で魔獣の前脚を焼き裂き、血影の黒駿は影の力で胴体を打ち据える。4着の黒駿も通常兵器を凌ぐ破壊力で、魔獣は呻き声を上げながらよろめき、膝をつく。
膝をつき、吐血と全身の痛みに顔を歪める坂田。胸の奥まで焼けるような痛み、脚の震え、視界の揺れ――すべてが代償。しかし、戦場で魔獣がほぼ動けなくなる姿を見て、わずかな誇りが芽生える。
(……これが……俺の……力……生命力……賭け……代償……すべて……守るための力……!)
赤いメダルを握り直し、全身の痛みに震えながらも坂田は立つ。戦場は荒れ果て、正規兵たちも無事だ。魔獣はほぼ倒れ、息も絶え絶え。膝をつきながらも、坂田は静かに胸を張った。
賭けたものだけが力を発揮する。痛みと代償を背負ってでも、俺は守った――俺の勝負で、仲間も街も、ここで守ったのだ。




