信頼
城門前に駆けつけた坂田は、戦う正規兵たちの姿を目の前に立ち止まった。
冒険者3人は流れるように戦闘に参加した。
槍を振るう兵士、盾で仲間を庇うバルド、矢を放つレオン、盾を構えるユリク。
だが、突進してくる魔獣の巨躯に押され、城門の石が砕け散り、空気が震える。
坂田はナイフを握ったまま膝をつき、全身に震えが走る。
(……何もできない……俺は、いつも……失敗ばかりだった……)
視界に酒場の赤い提灯がよぎる。
「お前は……信用できない」
バルドの言葉、レオンとユリクの真剣な視線――胸に突き刺さる。
(……そうだ、俺は……逃げてばかりだった……
仲間を守れず、任務に失敗し、挫折ばかりの人生……
でも……今度こそ……証明しなきゃ……!)
しかし、懐には銅貨のみ。
この掛け金じゃどうにもならないっ
体中に冷たい汗が滲み、喉の奥が焼けるように痛む。
膝に手をつき、吐血しそうな感覚に顔を歪める。
(……もう、後戻りはできない……!)
胸の奥で赤黒い力が蠢き、未知の力――生命力変換に気づく。
体力を赤いメダルに変換し、命を代償に力を発揮するスキル。
その代償は、吐血、痛み、全身の限界……すべてを引き換えにするものだった。
坂田は深く息を吸い、全身を焼く痛みが走る中で手を胸に当てる。
「……生命力変換、発動ッ!」
灼けるような痛みと吐血が喉を逆流し、全身を貫く。
赤黒く光る血が手のひらに集まり、5枚の赤いメダルに変わる。
膝をつき、吐血と震えに顔を歪めながらも、必死に握りしめる。
(……これで……仲間も正規兵も、街も……俺が守る……!)
時間が止まったかのように世界が赤黒く歪み、焦げた城門と血の香り漂う地獄の競馬場が現れる。
空には炎と煙が渦巻き、足元の大地は裂け、血の海が滲む。
五頭の攻撃馬がスタートラインに並ぶ――烈火の紅駿、雷牙の蒼駿、血影の黒駿、氷槍の白駿、轟土の金駿。
坂田は痛みに顔を歪めながら、赤いメダルを握り直す。
(……行くしかない……! これで……俺が守る……!)




