表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ギャブル勇者〜確率を超えて〰️  作者: 海木雷


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

124/185

賭け金

――ガリニ砦前・戦場


赤黒い魔法陣が空に広がり、血に濡れた大地と呼応するように脈打っていた。

逆さに映る巨大な紋様は、太陽すら覆い隠し、昼であるはずの戦場を闇の帳で包み込む。


敵も味方も、その場で足を止めて空を仰ぎ見ていた。

剣を振るう音も、怒号も、断末魔さえも消え失せ、ただ恐怖と畏怖に縛られた沈黙だけが広がる。


「……なんだ、あれは……」

バルドが剣を握る手を震わせる。


「でかすぎる……魔法陣って規模じゃない……」

レオンの顔から血の気が引いていた。


ユリクは矢を番えたまま動けずにいる。

「こんなもん、降りてきたら……」


クレアは唇を噛み、必死に魔力の流れを追うが、見えたのは絶望的な答えだけだった。

「……これは、む、むり……」


真時の胸中に、言葉にならない直感が突き刺さった。

(……死ぬ。これじゃ、みんな……全員……死ぬ!)


腰のメダルが灼熱を放ち、皮膚を焦がすほどに焼け付く。

思わず握りしめたその瞬間、耳の奥に響くような感覚が走った。


――逃げろ。

――いや、抗え。

――選べ。


重なる声のような、意味を持つかも分からない衝動が真時を襲う。


砦の門前では、黒騎士たちすら剣を下ろし、ひざまずき、空の魔法陣を拝むように祈りを捧げていた。

敵も味方も関係なく、ただその時を待つ者たちのように。


ガロルドでさえ、剣を下げて低く唸る。

「……マジかよ……これは…………!」


真時は息を荒げながら仲間の顔を見渡した。

みんな、必死に恐怖に抗おうとしているが――確信してしまった。


(……このままじゃ、本当に……誰も生き残れない。)


――空の魔法陣は、いよいよ完成の光を放ち始める。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ