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第89話:男には浪漫が必要なんだ!!

 チラリと緋獅子へ視線を向け、再び俺を見た蛇喰。




 コイツがいる状態で話を進めても問題ないか、と言外に問いかけているのだろう。




 俺としては、この手の血の気の多いタイプは嫌いじゃない。




 寧ろ常に余裕をまとって腹を探り合う様な、まさに蛇喰の様なタイプの方が苦手だ。




 俺が軽く頷き返すと、蛇喰は再び口を開く。




「さっきも模擬戦で見てもらったけど、僕——『蛇喰家』と彼の『緋獅子家』はちょっと特殊な家系でね……。




 この世界に〈ダンジョン〉や【魔法】なんてものが現れるより以前から僕らの『家系』は特殊な『力』を代々継承して来たんだ。




 それが【妖魔術】といって、僕らはこの力を使い、まぁ、言うなれば『政府が手を出せない裏の仕事』や俗にいう『妖怪』と呼ばれる超常の存在を打つ、そんな仕事を数百年前からこの日本で請負、暗躍してきた家系って感じかな」




 その後の蛇喰の話を要約すると、蛇喰家と緋獅子家は元を辿れば同じ系譜に辿り着くらしいが、どこかで其れが二つに分かれて以来『商売敵』として双方力のバランスを取っていた。




 ただその根底には『日本』という国を影から支える『使命』に誇りを持ち、政府の仕事を受けて来た、と。




 そんな『超常の世界』に身を置いて来た彼らでも想像の埒外の出来事が起きる。




 今から二十年前の〈ダンジョン〉出現だ。




 当初は、その調査などに両家ともども駆り出され、見たこともない『モンスター』の脅威にその身を晒し、命懸けで〈ダンジョン〉という理解不能な現象に対応していた蛇喰家と緋獅子家。




 だが突如として政府は両家に〈ダンジョン〉の調査を打ち切らせた、そして代わりに現れたのが四大クラン——つまり『王家』の人間だな。




 奴らは【魔法】の知識と管理方法を政府に売り込み、日本での影響力を瞬く間に拡大していった。




「政府は数百年に渡り仕えて来た蛇喰家と緋獅子家を簡単に切り捨てた。




 僕らのお株だった【妖魔術】も【魔法】の台頭によって価値も薄れ、結果的に両家は〈クラン〉と〈探索者(シーカー)〉という仕組みを甘んじて受け入れた。




 僕らはその他大勢の勢力の一つに成り下がったけど、そこは矜持と一族の名誉に掛けて両家とも今の『二強』っていう四大クランに続く規模まで正々堂々と上り詰めたって訳さ」




 一通り話し終えた蛇喰が新しく用意したカップに再び自ら紅茶を注ぎ直し、一息つく。




「て感じで僕らの身の上話は終わりなんだけど、なにか気になる質問とかはある?」




 舞衣はこの手の話が好きなのか、常に興奮しっぱなしで鼻息荒く相槌を打っていた。




 今は質問と聞かれ、逆に聞いてみたい事盛りだくさんな様子を隠しきれず、質問を絞っている様子だった。




 だが、俺は一先ず話を聞き終え、冷静に状況を整理。




 淹れてもらった紅茶にミルクをたっぷりと注いで口に含む。




 染み渡る糖分が俺に余裕を与え、だが、俺の理性は、魂から込み上げてくる感情を抑えることが出来なかった。






 ———、『妖怪』って、本当にいたんだあぁああっ!?






 マジか、マジでいたのか妖怪!!




 妖怪っていうとアレだよな『天狗』とか『デイダラボッチ』とか『目玉がお父さんのチャンチャンコで戦う人』とかっ!




 なんだよ、この胸踊る展開はっ!!




 『ぬりかべ』もいるのか? 『砂かけババア』はっ!?




 もしや、『猫娘』も。






『え、リョウマちんなんか呼んだ?』






 違う! お前は断じて違う!




 お前は『猫みたいな娘』であって『猫娘』ではなぁいっ!!




『は? なんかムカつくんですけど!? いきなりナニ? ボクも忙しいんだけど!?』




 ふん、この際言っておくが、シュナイム。




 お前蛇喰ってやつとキャラ被ってるぞ。




『はぁあ!? ちょっと、聞きづてならないんだけど?


 このハイパーきゃわいいボクと何処の誰が被ってるって?』




『あ〜、わかる〜。マスターないす、超ウケた』




『ちょ、バカ鳥までなに? 意味わかんないんだけどっ!?


 リョウマちん、後で覚えといてよね!! 納得いく説明——』




 つい興奮に負けていらぬ諍いを生み出してしまった俺はシュナイム達との『チャンネル』を強制的にシャットダウン。




 動揺を悟られない様に蛇喰へと向き直る。




「なるほど、話は大体わかったが——」




「はい、マスター質問です! 妖怪なんて本当にいるんですか? ちょっと信じられないんですが」




 ナイス質問だ妹っ!!


 もっと具体的にそこんとこ掘り下げを頼むぞっ!!




「ははは、面白い質問だね氷室さん。




 モンスターなんて人外が〈ダンジョン〉から溢れる現代に妖怪も何もあったものじゃないと思うけれど……いるよ?




 彼ら『あやかしモノ』は古くからこの土地にあって人間と『共存』または『敵対』しながらも世の人々は知らずに『共生』して来たんだ」




「へぇ〜、そっか。でも考えてみればそうですねっ、モンスターも見慣れちゃってますけど『妖怪』みたいなものですもんね」




 違うぞ、妹よ! 全然違う!!




 モンスターの中には確かに『オーガ』みたいな妖怪で言うところの『鬼』に似たモンスターも居るには居る。




 だがな、根本的に破壊衝動しかない『オーガ』と『鬼』では、なんというか、こう……浪漫がないんだよ、オーガには!!




 わからないかなぁ!! この浪漫!!

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