3 部活内での会話
俺たちはバレー部の部活を始めるため体育館へ向かった。
「おう、タケル! 顔真っ赤だぞー! 熱でもあるんじゃねーのか?!」
練習のために体育館に入ると、また田中がからかってきた。
「うるせえ! 大丈夫だっつーの! それより、今日の練習メニューなんだよ!」
俺はわざと大きな声を出して、気合を入れ直した。今は、目の前のバレーに集中だ。でも、頭の中は日曜日でいっぱいのままだった。
「タケルー、サーブの回転が甘いぞー!」
キャプテンのしゅんが、ネット越しに俺に声をかけてきた。俺は汗を拭いながら
「ウス!」
と返事をする。
「今日のタケル、なんか上の空だなぁ。やっぱ、日曜日のデートが気になるのか?」
りょうがニヤニヤしながら、俺の横に並んでストレッチを始めた。
「うるせーよ、りょう! 集中してるっつーの!」
俺はボールを拾いながら、わざとそっぽを向いた。でも、正直、頭の片隅にはずっと楓のことがあった。早く日曜日にならないかな、とか、どんな服で行こうかな、とか。
「ま、それも分かるけどさ。でも、今日の練習でしっかりやっとかないと、日曜日に動けなくなるぞ? 明日の俺たちの試合、お前もスタメンなんだからな。」
しゅんが真剣な顔で俺に言った。いつもふざけているが、真面目な部分もあり、説得力がある。
「分かってるって! ちゃんとやるから!」
俺は改めて気合を入れ直した。そうだ、今はバレーに集中だ。明日の試合も大事だし、今日しっかり動いておかないと、日曜日にかえでと動物園で歩き回る体力もなくなっちまう!
「その意気だ、タケル! じゃあ、次はスパイク練習だぞ!」
しゅんの声が体育館に響き渡る。俺は大きく息を吸い込んで、手に持ったボールを強く握りしめた。