15 ライバル出現?
「まずは、斎藤と楓との関係を知るのが先だ。そうじゃねぇと、どうしようもねぇだろ?」
しゅんが冷静に状況を整理してくれた。
「そうだな。確かに、そうだ。」
俺は大きく息を吸い込んだ。バレーの試合の時と同じだ。まずは状況を把握して、それからどう動くか決める。
「頼む、お前ら、力を貸してくれ。」
俺は、今までで一番真剣な顔で二人に頭を下げた。
しゅんとりょうは、顔を見合わせ、そしてニヤリと笑った。
「ったりめーだろ! 俺たちは親友だろ?」
「でも、その分、おもしろいネタになったら容赦しないからな!」
二人の言葉に、少しだけ心が軽くなった。一人で抱え込むより、ずっといい。
よし。まずは、斎藤と楓の関係を探るところからだ。
放課後、俺は体育館に向かいながら、しゅんとりょうからの報告を待っていた。二人は俺と別れてすぐ、楓と同じクラスの、バレー部の男子に聞き込みに行ってくれたんだ。
「おーい、タケル!」
しばらくして、息を切らしたしゅんとりょうが駆け寄ってきた。二人の顔は、いつになく真剣だ。
「どうだった?」
俺はゴクリと唾を飲み込んだ。
「斎藤が言うには、林さんとはただの友達、だってさ。」
りょうが腕を組みながら続けた。その言葉に、俺はホッと息を吐いた。なんだ、ただの友達か、それなら、まだチャンスはある。
「でもな、タケル。」
しゅんが俺の顔を覗き込むように言った。
「斎藤、林さんのこと、かなり意識してるみたいだぞ。話聞いてたら、好きな感じがめっちゃ伝わってきた。でも、林さんは全然気づいてないって言ってたけどな。それと斎藤は結構チャラい感じだしあんま良い話は聞かないな」
その言葉に、俺の胸はまたズキリと痛んだ。やっぱり、そうだよな。あんな風に親しげに話してたら、誰だって好きになる。
しかも、斎藤はバレー部員。もしかしたら、俺が楓を好きなことに気づいて、牽制してきたのかもしれない。
「そう、か。」
俺は拳を握りしめた。楓が気づいてないなら、まだ希望はある。でも、油断はできない。
「タケル、どうするんだ? このまま何もしないわけにはいかないだろ?」
りょうが俺の顔をっと覗き込んだ。
「当たり前だろ。俺は、諦めねぇよ。」
俺はもう一度、あの時の楓の笑顔を思い出した。ライオンのキーホルダーも。俺は絶対に、楓のことが好きだ。
「よし。じゃあ、まずはどうする? 斎藤に釘を刺しに行くか? それとも、楓にもっとアピールする?」
しゅんがニヤリと笑った。俺は迷わず答える。
「楓に、もっとアピールする。斎藤のことなんて、気にしない。俺は、俺のやり方で楓に気持ちを伝える。」
俺は楓にまっすぐ向き合う。それが一番だ。




