表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/21

11 動物園デート中編

 「小動物とふれあえるコーナーあるからそこ行きたいな!」


楓が目をキラキラさせて言った。動物園に来て、動物たちに触れ合えるなんて最高じゃないか!


「おっそれはいいな! 行こう行こう! どこにあるか、わかるか?」


俺もテンションが上がって、すぐにスマホを取り出そうとしたけど、楓がもう地図を広げていた。


「えっとね、たしかこっちの方!」


楓が指差す方向に、俺たちは足を進めた。どんな小動物がいるんだろう? ハムスターとかモルモットとかかな?


楓が嬉しそうにしているのを見るだけで、俺も楽しみで仕方なかった。


楓が地図を頼りに進んでいくと、可愛らしい動物の鳴き声が聞こえてきた。入り口には「なかよし動物広場」って看板が出ていて、たくさんの人が小動物と触れ合ってるのが見えた。


「わー! うさぎさんいる!」


楓が目を輝かせて、小さなケージの中にいるウサギたちを指差した。モルモットやハリネズミなんかもいて、見てるだけで癒やされる。


触れ合うウサギたち


手を消毒して、俺たちはウサギのコーナーへ。地面に座って、そーっと手を伸ばす。


ふわふわの毛並みのウサギが、ちょこんと俺の手のひらに乗ってきた。想像以上の柔らかさに、思わず笑みがこぼれる。


「可愛い〜! この子、なでなでしてって言ってるみたい!」


楓も隣で嬉しそうにウサギを撫でてる。楓の指先がウサギの耳を優しくなでるたびに、ウサギが気持ちよさそうに目を細めるのが見えた。


夢中になってウサギを撫でていると、自然と楓との距離が縮まっていた。そして、小さなウサギの背中を一緒に撫でようとしたその時、


俺の指先と、楓の指先が、そっと触れ合った。


「「あっ…」」


お互いに、小さく声が出た。一瞬、時間が止まったみたいに感じる。楓の指先は、想像よりもずっと柔らかくて、少しだけ温かい。俺の心臓は、ドクン、と大きく鳴った。


楓が少しだけ顔を赤らめて、目線をウサギに移した。俺も、何でもないフリをして、ウサギの頭を撫で続けた。


「あ、タケルもウサギ触る? ほら!」


楓が少しだけ赤くなった顔のまま、優しい声でそう言った。そして、自分が撫でていたウサギを、そっと俺の方に押しやってくれる。


「おう、ありがとう!」


俺は平静を装って、差し出されたウサギを優しく撫でた。ふわふわで温かいウサギの毛並み。


でも、それよりも、さっき触れ合った楓の指先の感触が、俺の頭から離れない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ