紙飛行機の宝の地図
■登場人物
私 :主人公。
紙飛行機:紙を折って飛行機を模した形を作り、飛ばして遊ぶもの。
この作品は、「第6回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞」の応募作です。
テーマは「紙飛行機」。
公園のベンチでボーっとしていたら、白い紙飛行機が飛んできた。
青い空をスーッと滑るようにして、私の上空を通り過ぎた後、風に吹かれて向きを変え、目の前にポトリと落ちる。
まるで私に拾って下さいという感じだった。
周りを見渡したが、持ち主らしき人はいない。
しばらく待ってみたが、拾いにくる気配も無かった。
(近くのマンションに住む子供が、窓から飛ばしたのだろうか?)
私は少し考えたが、その紙飛行機を拾った。
(何か書いてある?)
近くで見ると、何か線のようなものが見えたので広げてみた。
グニャグニャとはしているが、目印や道が描いてある。
(子供の描いた地図かな?)
地図にはバツ印も付いていた。
(これは宝の地図だろうか?)
スタート地点の大木はこの公園の中にある。
何かの縁だと思って私は宝探しをする事にした。
大木から池の横の道をまっすぐに歩き、丁字路に着いたら右に行き、道なりに丘を上がる。
丘には小さな時計塔が建っていて、いつも人々に時間を知らせていた。
バツ印はそこに付いている。
丘の上まで辿り着き、私は何かないかと時計塔の辺りを探してみたが、変わったものは見つからなかった。
(何もない…。)
考えられる事ではあったが、少しがっかりした。
手持ち無沙汰になって街を見下ろしてみる。この丘以外に高い場所は無いので、ここからは遠くまで良く見える。
(そういえば、ここに来るのは何年ぶりだろうか?)
そんな事を考えていたら声を掛けられた。
「久しぶり。」
それは小中学校が同じ級友だった。
「こんな所で何してるんだ?」
「それはこっちの台詞。」
ふと相手の手元を見ると、折られた紙を持っている。相手も私の持っているものに気付いたようだ。
私は元は紙飛行機だったものを見せて言った。
「紙飛行機の地図で宝探しをしていただけよ。」
「暇人か?」
「勉強の息抜き。」
「まあ、俺も同じだけど。」
そう言って、彼も紙飛行機だったものを見せてくれた。
「同じだね。」
「きっと誰かが何枚も描いて紙飛行機にして飛ばしたんだな。」
「偶々、私たちが拾ったって事?」
「それ以外、考えられないだろう?」
それでも十分に不思議な事だと思いながら、私は級友との再会を紙飛行機に感謝した。
締め切りギリギリの投稿の為、推敲をしてませんが、何とかまとまってくれたと思います。
気に入って頂けましたら、ブックマーク、評価、いいね、感想など、少しでも反応を頂けると励みになります。
お読み頂き、ありがとうございます!