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魔法少女の光と影  作者: 生姜焼き
陰陽コミュニケーション
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魔法少女の日常


 外に出れば辺りは暗くなり、夜風が冷たく肌を刺す。


「すっかり夜ですね。」


「そうですね……」


 相づちしか打てない……


「エイナさんはこれからどうするんですか?」


「どう、とは…?」


「ほら、家も家族もいないそうでしたので……」


「ああ。」


 考えてもいなかったな。


「どうしよう……」


「でしたら私の家に来ますか?人一人分位余裕ありますし。」


「…………うえっ!?良いんですか!?」


 予想だにしない方向から提案する光さん。


「もちろんです!こんな困った友達見捨てられません!」


 出会って一日で友達と言い切れる光さんが眩しい。


「良いと言ったなら善は急げです!このまま手を握っていて下さい!」


「何で手を」

視界が一転する。



「着きました私の家に!」


「ええ…?」


 目の前にはありふれたような一軒家に白雪の表札がかけられている。


「あれ、びっくりさせました?説明してませんでしたね、ごめんなさい!」


「どうやってここに……?」


「えっとですね!説明しますと、私は光の魔法少女です!」


「はい。」


 それはご存知ではある。


「そして光を操れます。」


「はい。」


 白雪光の名が示すように、彼女は光の申し子として世間にそこそこ名が知られてきた期待の魔法少女だ。


「光を操るとなれば、()()()()など朝飯前と言う訳です!」


 理屈ではなく、ただ己が冠する名の魔法を自在に操る、それこそが魔法少女である。

彼女が朝飯前と言うならば、本当に朝飯前なのだ。


「凄いですね……」


「いえいえ、三等星以上の皆さんは何かしらの移動手段があるので誇れるものでは無いです。」


 そうは言っても三等星以上は上澄みであり、四等星でできる光さんは凄いのだろう。


「それはそうと家に入りましょう!寒いでしょうし。」


 ぐいぐと手を引かれ家へと招かれる。


「ようこそ私の家に!大したおもてなしも出来ませんがご容赦を!ですがお気のすむまで居てくれて結構です!」


 玄関で両手を広げ声を出す光さん。


「あの、さすがにそれはご迷惑では……」


「私が良いと言うのですから良いですよ!」


 気にすることもないと言い切る光さん。


「ご家族とかは良いんですか?」


「この家に私以外の家族はいませんよ。」


 聞いてはいけないことを聞いてしまった。


「そんな顔しないで下さい、悲しい話でも無いですし。」


 何でもないかのように光さんは廊下を歩く。


「私の両親は私が生まれた後すぐに蒸発しましたから、父方の祖母と伯父が育ててくれたんですよ。」



……さらりと言うには重たい話だ。



「祖母と伯父が忙しいので滅多に家に帰って来ませんが、愛情をもって育ててくれたので寂しくはありませんよ。」



「そうですか……」


 テーブルと椅子だけの殺風景なリビングで、言い出しずらい雰囲気になる。



「あの、ご飯にしませんか?」


「はいっ。」


 光さんから空気を変える提案がきた。はい以外言うことはない。

そして光さんは台所に行った。


「昨日のカレーがあるので。温めます。」



 ごとりと冷蔵庫から鍋を取り出しコンロにのせる。

カチチと火にかけお玉でかき混ぜる。

スパイスのとてもいい臭いが漂う。


「思ったより余ってますね。」


 とても上機嫌に鍋を混ぜながら鼻歌を歌う姿はとても様になっていた。

しばらくして湯気が立ち火を止める。


「そろそろいいですね。」


 てきぱきと食器棚を開け皿を取り出し、炊飯器からご飯をよそい、きれいに盛ってカレーをかけていく。


 模範的なカレーを食卓に置き声を出す。


「出来ました!さあ座ってください!」


「ありがとうございます……」


 何もしていないのにご飯を用意させてしまった……。


「いえいえ、客人に仕事させる訳にはいかないので!早く頂きましょう!」


「はいぃ。」


 何だか強引に座らせられる。


「頂きます!」


「い、頂きます。」


 暖かな食事と憧れた友達。


「美味しい……」


 もう二度と味わえない家庭のぬくもりをまた感じ。

とうに枯れた涙が溢れた出した。


「わわ!辛いの苦手でしたか?無理しなくていいですよ!」


 確かに辛いけれど、それよりもっと美味しい味だ。


「辛い……でも美味しい。」


「ああ、泣くほど美味しかったですか?それは何よりです!」


 味わって味わって味わって、夢中になってカレーを食べる。


「いい食べっぷりですね。」



 空っぽになった皿をじっと見て微笑んでいる。



「うえあはい……」


 何だかとても恥ずかしい思いをした気がする。


「ではごちそうさまでした。」


「ごちそうさまでした。」



 光さんはお皿を台所に持っていき、慣れた手つきで洗い始める。



「美味しかったですね。」



「美味しかったです。」



 どう話せばいいかわからず会話が続かない。



「ああ、お風呂に入りますか。エイナさんも一緒にどうですか?」



「うえるえりゅえ!?」


 天地がひっくり返ってもあり得ないような、誘いを受けた。

最初出すべき情報も出したししばらく日常が続きます。

次回、お風呂回


編集完了投稿再開

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