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魔法少女の光と影  作者: 生姜焼き
陰陽コミュニケーション
17/26

平穏を壊すもの


 光さんに向き合い上体を起こす。

そうだ、おれは寝ていたんだ、何かぼやけた不思議な夢にいたはずだ。


「起きましたか?エイナさん。」


「ふぁい。」


 まだ覚醒しきっていない脳を起こしつつ、今見ていた夢を思い返す。

覚えていることはほとんどないが、何かがそばにいるよと約束した気がする。

何故か大事なことだと思ったので記憶の片隅に置いておく。


「いいですか、今日はハンバーグですよ。」


 自慢げに語る光さんを見て横目に立ち上がりリビングに向かう。

食事を楽しみにしながら現実に立ち返る。


「早く頂きましょう。」


 光さんは颯爽とキメ顔でキッチンからハンバーグを取り出す。

ことりとテンポよく配膳していく様はキッチンのプロだった。


「いただきます。」


「はい、いただきます。」


 そそくさと食事に取り掛かるおれと光さんは食事は静かに執り行う。

無情に食器を動かす音だけが響き渡り沈黙が辺りを支配する。


「光さん、何かありました?」


 食事はよく食べているが光さんは心此処にあらずといったように思案しているようで、何かあったのかとおれは沈黙を破る。


「まあ、今言うことではありませんが、予感がするんですよ。」


 真剣に言うには荒唐無稽な話だが、語り口をみればそれが真に迫るものであるとわかるだろう。

それだけ光さんの言うことは確かだった。


「エイナさんを起こす時からですかね、そわそわするような感覚が止まらないんですよ。」


「それは……同感です。」


 光さん同じように起きた時に何かが起こる予感がした。

光さんのようにずっとではないが……


「エイナさんも感じましたか?この胸騒ぎを。まるで運命の岐路に立たされている底知れぬ未来を。」


 さすがにそこまで詳しくは分からないが光さんの言う通りこの予感に備え、ぺろりと晩ごはんを平らげた。

光さんはもう既に食器を下げていた、おれよりも早かった。


「大いなる天命を感じるのはあの時以来です、備えて下さい、来ますよ。」


 いつの間にか魔法少女の服に着替えて天井をじっと眺めている光さん。

いつになく真面目に構える様でいつでも来て良いように臨んでいるようだ。


「zyaaaaazuuuuZOOONNNN」


 突如天井を吹き飛ばし、襲来するはマジルガ、そうだ、予感がするならばこれ以外ないだろう。

場所も、時間も、関係なく生まれたる欲望の魔法、マジルガがこそが魔法少女の運命に相応しい。

これから起こることはマジルガの行進、決して避けられない欲望の坩堝。


「これが始まりですか……!派手にやってくれますね!」


 ご丁寧に二階から天井に穴を開けてくれたマジルガはさらに穴を開けるように暴れ散らす。


「これはあれです!壊廃のマジルガです!」


 猿のような体躯を持ちつつも3メートルを超える体長を誇る二級の危険マジルガ。

物を見境なく破壊する暴君であり、積極的に人を襲わないため一級ではないが、二級の中でも屈指の強さを持つ強敵だ。


「厄介です……勝てはしますが先に家が壊れます……!」


 光さんは四等星の魔法少女であり、二級の討伐実績がある。

だがやたらめったらに暴れるこのマジルガを被害なく瞬殺できるほどではない。


「どうしますか?これ。」


 とういうかおれは三級の危険マジルガ、暴走のマジルガにずるずる引っ張る程度のことしか出来ない、六等星の魔法少女だ、はっきり言って足手まといだった。


「取り敢えず引き剥がせればいいですが厳しそうですね!」


 光さんは魔法陣のを展開して光線をマジルガに向けて放っている、それでも体の表面を焦がすにとどまりマジルガは気にも止めない。


「もう家が持ちません!」


 二階と屋根が瓦礫と化する中避難するように外に飛び出した。

柱も無くした家が倒壊していく。


「この際家は諦めて他の家に被害がいかないように倒しますよ!」


 意を決して光さんは念入りに瓦礫の山を木っ端微塵に叩き潰すマジルガに突撃していく。


「これは被害がデカくなるので使いたくなんですが……背に腹は代えられません!」


 弾丸のように跳躍してマジルガの顔面に光輝いた拳が突き刺さる。

三メートルを超える巨体が浮き瓦礫の山に沈む。


「エイナさんは足止め出来ますか?このままでは辺りも更地になります。」


 光拳を掲げファイティングポーズを取る光さんにマジルガはこちらに、光さんの方に向いた。


「頑張って見ます!」


 光さんとマジルガが向かい合い、その瞬間激突した拳同士が瓦礫を吹き飛ばす。

非現実的な格闘戦に世界がおいていかれる中おれは足止めに徹しようとどうにか魔法を行使する。


「止める為に影を縛る!」


 影を封じ込めて相手を動けなくする魔法をかけた。


「【影縛り】」


 我ながら安直な名前の急ぎの魔法をも多少は効果あるようで一瞬暴れるマジルガが止まり光さんにノックダウンを取られていた。


「ありがとうございます!その調子でお願いします!」


 だがまだまだ暴れるタフネスを持つマジルガに長期戦の覚悟を決めた。

ここからはノンストップで章の終盤まで行きます

運命の歯車は動き出した、もう誰も逃れられない。抗え。

明日更新

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