女子の買い物とは
「今日もいい天気ですね!」
空は快晴、雲一つない太陽の下でうきうきと二人並んで道を歩いている。
澄みきった寒天に傾いた日差しが眩しくて手でお日さまを覆う。
「少し風が強いですけどね。」
先日光さんと出会った時もよく木枯らしが吹き、晴れた街の中だった。
冷たい風が直接肌にささり、揃って髪を靡かせる、吹きすさぶ中光さんはからからと心底嬉しそうに笑う。
「あはははは!いいじゃあないですか!四季の移ろいを肌で感じるのも乙なものですよ。」
「光さんは四季が好きですか?」
「もちろんです!日本にいるからには楽しまなければ損です!せっかく四季折々の風情があるならば全て堪能してしまいたいでしょう!」
光さんは嫌いな季節とかないみたい、おれは暑いのも寒いのも苦手である。
目を輝かせて語るその熱はおれには持てない物なので羨ましく思う。
万歳インドア派閥なので光さんの全てを楽しむ精神はリスペクトしていきたい。
「今日は買い物日和ですからね!ぜひともエイナさんには楽しんでいただきたいので今日はこんなものを用意しました。」
堂々とショッピングモールのカタログを取り出す光さん、滅茶苦茶準備がいい。
「そんなに楽しみでしたか?」
「それはもう!一人で行くのも少し億劫でしたから、行く理由が出来たので楽しみです!エイナさんには感謝します!」
「それはよかったです。」
そんなに感謝するほどではないけれど嬉しいことを言ってくれる。
なんていい子なんだろうか。
「そうこうしているうちに見えてきましたね。」
しばらく歩いていたらいつの間にかついていた。
やたらとデカデカと掲げる看板にだだっ広い駐車場、ここがショッピングモールだとわかりやすいことこの上ない。
「広いですね……久しぶりに来ました。」
実に小学生以来である、以前は何を買いにいっただろうか、あまりの記憶が朧げなので何があったか探るが何も出てこない。こんなに忘れっぽかったっけ?
「ワクワクしますね!どこから回りましょうか!」
「服買いに来たんじゃないんですか?」
「もちろん目的それだけではないです。色々まわりますからなので存分に楽しんで下さいね。」
「わかりました……!」
連れ回されることが確定してしまったのでもう開き直って全力で楽しむ事にした。
光さんの言う通り楽しまなければ損なのだ、どうせなら最高の思い出にしようか。
「まずは先にゲームセンターを堪能しましょうか、小手調べです……!」
カタログ片手にゲームセンターに一直線に脇目も振らずずんずん進んで行く。
ウキウキとした足取りで鼻歌が聞こえて来そうなほどにご機嫌である。嬉しさがこちらに伝わるほどの笑みをして。
「何からしましょうか……!」
様々な種類のゲームの音が入り混じる、筐体の発光が眩い。
「やっぱりするならこれが最初ですね…!」
スーパーハイテンション状態な光さん、最初に手を付けたのは音ゲーだ。
「腕試しですね!」
初っ端から最高難易度の面を選択した光さん、凄まじい捌きかたでコンボを繋ぐ繋ぐ、あっという間にフルコンボでクリアしてしまった。
「こんなものですね。」
「凄いですね、ちょっと意外です。」
「密かな自慢ですよ、よく暇さえあればやっていたのでだいぶ上達しました。」
ムフーと得意気に誇る光さん、とても可愛い、意外な一面だった。
「次は何をしますか?」
「何しましょうか。」
光さんはゲームセンターをふらふらとさ迷いながら遊ぶものを探している。
よおれはくわからないので光さんについていくだけだ。
「そうですね、じゃあUFOキャッチャーなんてどうですか?」
「やってみます。」
お菓子の箱が並びシンプルな操作ボタンとレバーがあるUFOキャッチャー、じつはやったことがないので初めての挑戦だ。
光さんにお金もらいいざ初陣……!
「弱くてすいません……」
結局千円ほど使いお菓子を一つ取っただけだった。
「上出来じゃあないですか?」
にこやかに光さんは五百円で三つとっていた、格差。
「初めてなのでどう取ればいいか分からず……やっぱりコツとかありますか?」
「ありますよ、まあ私は感覚でやっているので説明できないですけど……」
随分感覚派な光さんであった。ちょっと参考にならない。
「まあ高くつきましたがお菓子を……」
「自分で食べていいですよ。エイナさんが取ったものですから。」
差し出そうとする手を止められる、知っているが優し過ぎる、底抜けの好い人だ、何度好感度を上げればいいのか、株がストップ高である。
「ありがとうございます、後でいただきます。」
ちゃんと感謝を伝えて頭を下げる。
「気にしないでください、今日は楽しんでくれたら私はそれでいいんです。」
「はい!頑張ります!」
「ぜひ楽しんでください。」
頑張る決意をしてゲームセンターでやりたいゲームを探し始めた。
一旦更新
ぎり朝、まだ追加したい
今日更新しますすみません