むしろ読者を「ざまぁ」するような話を書くくらいの気概
第1王子が真実の愛がどうのこうの言って、王族と婚約できない爵位の令嬢を連れてきてさ。
お約束通り、公爵令嬢が婚約破棄されるんさ。
で、さも賢そうなイケメンでスパダリな第2王子が出てきて、その公爵令嬢と婚約して、第1王子の行動が次期国王に相応しくないと高らかに言うわけさ。
で、その発言に同意し、第1王子を叩く家臣団も出てきて。
これで第1王子がざまぁされるかと思いきや、ここまでが全部第1王子側の芝居なわけよ。
国内では第2王子を国王にするために第1王子の廃嫡を狙う派が暗躍していた。
公爵令嬢の家も実はそちら派で、彼女は第1王子のあら探しやでっち上げのネタを作るために、近づいてはスパイのように裏工作を続けていた。
第2王子派のあぶり出しに成功した第1王子はここから反撃に出る。
織田信長も謀反おこした弟、ぶっ殺したじゃん。
謙信の養子たちも後継者の座を奪い合ったじゃん。
異世界とはいえ、そういう殺伐な世界よ。
連れてきた令嬢は王族と婚約できない爵位だが、彼女の祖父は第1王子派の中でも有力な公爵で、その長男が儀礼的にその下の爵位を名乗っていた。
婚約が成立すればすぐにでも長男に爵位を譲る話が済んでおり、その令嬢は第1王子と婚約。
これを合図に、辺境伯も武力を用いて参戦。
2人の王子が自分こそが正統な次期国王だと主張して対立。
ここから二大公爵家や派閥がぶつかり合う後継者争いの内紛に発展。
各地で要所やボトルネックとなる場所を奪い合う、激戦が勃発。
親族や兄弟で裏切りや内通の応酬、疑心が疑心を生み、戦後の旨味を得ようとする隣国をも巻き込み、何もかもが錯綜する汚泥にまみれるドロドロの戦い。
その結果、第1王子派が勝利。
新たな国王となる。
第2王子派の一部は処刑、婚約破棄された公爵令嬢と第2王子は処刑は免れたものの、辺鄙な地方に追放されて、弱小貴族のような人生を送りましたとさ。
感情移入する女主人公とスパダリかと思わせたキャラを完全敗北させて、分かりやすい殴られ役の悪者かと思われた第1王子が文句なしの大勝利!
最初に連れてきた、キーキー騒いで処刑されそうな役どころかと思われた令嬢もやがて王妃に!
読者の予想と期待を悪い意味で完全に裏切って、物語は完!
作者がみんな流行りに迎合した、読者の欲しがるざまぁ話を書くとでも思ったかーっ!
とか散々やったら、コメント欄の感想が取り返しがつかないほどぐっちゃぐちゃになるだろうけど面白そうだなあ。
って、マックの女子高生が言ってた。
ぼくはざまぁとか怖くて書けません。