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窓から見える景色

作者: さち


ウチには大きな窓がある。


日当たりの良い部屋でその窓から光がたくさん入るんだ。

僕はいつもその大きな出窓に腰掛けている。




毎朝起きるとカーテンを開けて君が言うんだ。

「おはよう。今日も元気ね。」って。



君は僕のいる窓から外を眺めて伸びをする。

その姿は何故かとても美しくて僕は目が離せない。



あぁ。今日も君は綺麗だね。

伝えたいけど恥ずかしくて僕は口に出来ない。



いつか…いつか君のその金色に輝く瞳を見つめて伝えたいな。




毎日、僕に声をかける君。


晴れの日も


雨の日も


綺麗な夕焼けを見たり


キラキラ輝く星を二人で見たりもした。





けれど、僕はいつになっても君に気持ちを伝えられない。



…こんなにも好きなのに。

どうしたら伝わるんだろうか。




ある日、君が僕に擦り寄って「みゃあん。」と泣いた。

何かとても悲しい事があったんだね。


僕は最近、すっかり元気がなくなっていてさ。

だんだん君の顔がぼやけて見えるんだ。



もっと…



もっともっと…君のそばにいたい。



君のその金色の瞳に映る僕は、すっかり萎れて花も葉っぱも下を向き、窓の外を見る事は出来ない。



もうすぐお別れだ。

だって、あんなに暖かかったのに外は雪がチラついている。



あぁ。…まだ君に好きだって言ってないよ。

伝わらないかもしれないけど、僕は本当に本当に君が大好きだったんだよ。



時々、僕に擦り寄ってしてくれるキスが好きだったんだ。

…まぁ、ヒゲがくすぐったかったけれどね。



君の漆黒の滑らかな毛並みと柔らかな体。

美しく伸びる尻尾も大好きだ。




夏に僕が大きな花を咲かせた時は、喜んでくれたものね。

また夏に会おう…?



来年はもっともっと大きな花を咲かせるから。




「あなたってお日様みたいね。黄色くてまぁるくって私、大好きよ。」



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― 新着の感想 ―
[良い点] 初めて感想を書きます。 花の命を、花やひまわりという言葉を使わずに表現していて、読み進めるうちに色々な想像が広がっていきました。どうか来年も再来年も「僕」と「君」が出会って幸せでいてほしい…
2021/05/22 16:29 退会済み
管理
[良い点] しみじみと好きだなぁと感じました。 この組み合わせの恋のお話は拝読したことがなく新鮮でした! 「僕」の想いや花ゆえの去りゆく感じがたまらないです! 最後の「君」のセリフにグッと来ました。 …
[良い点] 童話のような、素敵なお話しでした。 最初は、人と人 次は、人とネコ 最後は、ネコとヒマワリ と、想像を掻き立て、楽しかったです。 とても素敵な作品をありがとうございました。
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