第6話 「…は?」
。。。。。。
…ん?
俺は混乱する。
確か俺は酸の沼で溶けたんじゃなかったのか?何故意識が?
目をあけようとするが何も見えない
だが体が存在すん「感覚」はある
(どうなっているんだ…)
状況を、体を確認したいと強く願うと視界がボンヤリとではあるが開けてきた
どうやら水中?の様だ
上にある水面に日の光が反射して煌めいている
…体は?
記憶では唯一原型を留めていた左手を視界の内に持っていく
。。。
。。。
。。。
「…は?」
視界に入ってきたのは茶褐色に輝く「骨」だった。
慌てたせいか「両手」を使って体をまさぐる
…あれっ?「両手」???
ブルピットにもぎり取られ、拾い集めた肘先は今俺の腕に戻っていた
…とにかく水中から出よう
ーザブザブザブ…ジャリ…ー
沼の畔に出ると前迄の「鈍い体」が嘘の様に軽やかになっていた
…何故だ?
俺は身体チェックを再開する
。。。
『俺…骨じゃね???』
パニックになってまさぐろうとした「体」は
「カツンッ‼」
と小気味よい乾いた音を立てる
この世界から消え去ろうの酸の沼に入ったが消え去ったのは俺の「肉」だけだった
「はは、何だよこれ…」
ゾンビとして転生し疎まれ追われ貪られ…死のうとして行き着いたのが
「…スケルトンか?」
前世の空想世界ではゾンビ→腐敗→スケルトンみたいな流れはあった
…ゾンビ迄はまだ許そう。だが骨のみになっても活動を可能とするスケルトンは現実問題無理があるだろう
何せ骨と骨を繋ぎ止める筋肉も筋も肉も皮膚もないのだ
そういえば…どう繋がってるんだ?
俺は自分の手を見てみる
指、手首、肘の関節…
骨と骨の間には何もなかった
深く考えるのを止めよう…
目の前の事実は
意識があり骨だけの姿で動ける
これだけだ。
改めて手を見る
白い筈のその骨は茶褐色というよりブロンズの様に鈍い光を放っている
…ん?骨なのに何で「見える」んだ??
素朴な疑問は直ぐに俺の手を眼窩へと導く
。。。ない。目がないよ…
目があったその場所はただ穴が開いていた
というか脳ミソないのに何で?
恐る恐る指を眼窩に差し込む
ーカキンッー
あぁ、そうだった。蝶形骨とかが邪魔して指とか入る訳がないのか
俺は辺りを見回して細い枝を探す
眼窩か鼻腔、脳髄が通ってた所なら「隙間」はあるだろう。
ん…と。。。やっぱり…
差し込んだ枝の先からは何の感触も得られない
「脳」もなく「筋肉」も「筋」もないのに「意識」と「視力」と「聴力」はある。
。。。ふざけた世界だな
「ははっ、はははははっ!」
自分の笑い声に驚く
…何だよ、骨だけになったら声迄取り戻したってか?
ゾンビとして生き食われスケルトンとなった今、肉以外はほぼ取り戻せているとは皮肉にも程がある
よし、悩んでいても仕方ない。
今後はスケルトンとして生きて?行こう‼
少なくともブルピットに食われる迄の絶望感からは解放されたのだ
とは言うものの目標もないのはちょっと寂しいな…じゃあとりあえず「仲間」でも探すか!
カズヤは既に失った目を煌めかせた(感覚的に)