第42話 「決戦part4」
カズヤはワール王により突然攻撃され消滅してしまった
《そんな…カズヤ様…》
ラクルは茫然自失になりカズヤの名を呟いた
((ワール王!先程の行いは喩え重罪を犯した者とは言え性急過ぎはしないか?))
《胡散臭ぇなぁ、何か疚しい事でもあるから口を塞いだんじゃねーの?えぇ⁉ワール王!》
ガイア王とグズリ王はお互いの思惑で怒りのオーラを纏いワール王に詰め寄った
そんな二人を下に見ているワール王は涼しい顔でこう言い放った
《犯行自体は既にフェルトが自白している。他の関連性もフェルトから聞けば良いだけだ。
他にカズヤを生かしておく必要があったのか?えぇ?ガイア、グズリよ?》
ワール王は既にマウントを取って二人を敬称無しで呼び捨てている
《さて、ラクル嬢。この場合全王代行として僭越ながら私が立つのが妥当だと思われるが如何か?》
《な、何をっ⁉お父様が亡くなったばかりだと言うのに‼》
《はっ‼だから子供は困る。全王が亡くなった今だからこそ火急に代理が必要なのですよ
万が一外敵に襲撃されでもしたら誰がその指揮をするのですか?》
《…クッ‼》
ラクルはこの計画の主、カズヤが消滅した事で機先を封じられ防戦一方だった
ガイア王にしてもグズリ王にしても実力ではワール王に遠く及ばない為ある意味ワール王の独壇場になっている
《では他に反対意見もない様ですし私が「全王代行」として暫くは務めさせて頂きますね》
ワール王はツカツカと玉座に向かうとどっかと腰を下ろす
《衛兵!前全王達の遺体を霊廟に運べ!丁寧になっ!》
生き残りのドラウグル達がワール王の指示に従って遺体を片付けに取り掛かった
(勝った!私はこの戦いに勝ったのだっ!!)
ワール王は自身の勝利に酔いしれていた
ー…カツーン、カツーン…ー
重い空気が漂う謁見の間に誰かの靴音が響き渡る
《ん?誰だ?あれは?》
ワール王の正面に1人の青年が歩み寄ってくる
ーカツーン、カツーン、ー
彼の靴底には良い音を響かせる為に金属板が付けられている
ーカツーン、カツーン…ー
《貴様っ!全王の謁見の間に無断で侵入するとは無礼であるぞっ‼》
ついワール王は本音が出てしまい(代行)を付けるのをついウッカリ忘れてしまう
「…貴様こそ前全王により次の全王に指名されている我に対し無礼な物言いよの。ワール王よ」
《な、何だとっ⁉》
「知らぬのであろうな。貴様が前全王を弑逆しようという目論見は既にご存知であったのだよ。
だが今回は不慮の事故でお隠れになってしまわれ…貴様の思う様になってしまった」
《ぶ、無礼だぞ⁉いつ私がドラグ王を弑逆しようと…そ、その証拠は何処にあるっ‼》
「…その証拠は「これ」だ。」
次代全王を名乗る青年はワール王達の前にスクリーンを発現させた
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《ええぃ‼詭弁はもう沢山だ!ドラグの耳に入る前に決行するぞ!例の魔導具はどうした!》
《私が数百年練った策略がこんな形で露見するとは…完成を更に急がせよ!》
《良し‼ではドラグの在室を確認し魔導具を発動させよ!》
《良し、オウルに中和剤を散布させろ‼証拠を残さん様にな》
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。。。
《な、何だ?これはっ⁉》
「お忘れかな?貴様がドラグ王に仕掛けた魔導具を展開させ弑逆した時の貴様の喜ぶ様よ!
これでも貴様は何も知らぬと言い張るのか?」
《ば、馬鹿なっ⁉こ、これは何かの陰謀だっ!》
「奸計を巡らせたのは貴様ではないか。策士策に溺れるとはこの事だな!ワールよ!」
《き、貴様は誰だっ‼》
ーポン…ポンポンポンポンポンポン…カッ‼ー
「ひとぉつ‼人の世生き血を啜り‼ふたぁつ‼不埒な悪行ざんま…」
《誰だっ‼貴様‼》
「…ちっ!最後まで言いたかったが興醒めだ!もう良いや…」
青年は残念そうに般若の面を放り投げた
「俺は…カズヤだっ!」
《《《何だとっ??》》》
ワール王は勿論の事、ガイア王もグズリ王も驚愕している
ラクルに至ってはカズヤの無事を知り号泣していた
《は、はははっ!カズヤは私が処罰して先程消滅させたわっ!この偽物め!語るに落ちたなっ!》
「はぁ~、馬鹿はどっちだか…あんたが殺したのはこいつか?」
そう言うとカズヤはスケルトン体の分身体を具現化した
《そうそう…って…な、そんな馬鹿なっ⁉》
「あんたの策略なんて全て筒抜けだったんだよ。普段あれだけ殺気垂れ流していたら誰だって気付くだろ?」
カズヤはため息混じりに答える
「それとな、ほれっ!」
カズヤはドラウグル達が片付けようとしていたドラグ王達の遺体を指差した
するとそれらは全て「ぬいぐるみ」に変化したのだ
《ば、馬鹿なっ⁉私は確かにドラグ王が魔導具の攻撃で死んだのを。。。はっ⁉》
「はーぃ、自供頂きました!ドラグ王様、もう出て来て良いですよー‼」
《なっ⁉》
ーガラガラー…ー
玉座の横にある次の間の引き戸が開きドラグ王達が姿を見せる
「あ、それとフェルトさん。もう出て来ちゃって良いですよ」
「…何じゃ、もっと遊ぶのかと思ったが随分あっさりじゃのぅ…」
「だって…サビのセリフ邪魔されちゃった…じゃなくて…あはは‼」
腰が抜け気味のワール王の背後から捕縛し洗脳していた筈のフェルトが玉座の後ろより立ち上がる
《なっ?け、けひゅっ⁉》
ワール王にとっては驚愕の連続で変な声を出し始めている
「さ、観念しましょうか?ワール王様?」
カズヤは詰めの段階にシフトさせた