第39話 「決戦part1」
《我が君‼例の魔導具が完成しました‼》
《よし、早速作戦に移るぞ!》
ワールは焦っていた
今回ドラグの暗殺用に開発した魔導具は自身のアリバイを保証する為にパッシブウエポンであり
ソレ自体が自発的に攻撃を加える訳ではない
依って使用するには誰かがドラグの私室迄運ばないと作動は出来ないのだ
(ドラグに気付かれる前に是が非でも奴の私室に運び込まなければ…)
ワールの生死を賭けた策略は今強引に発動されたのだ
ードラグ王の私室ー
《失礼致します》
『どうした?』
《はい、ワール王より知らせがあり魔導部のフェルトに謀反の兆候があり捕縛したとの事です》
ドラウグル…カズヤ命名健二が一つの魔導具を持ってドラグ王の私室に報告にやって来ていた
『…これは何だ?』
《は、謀反の証拠品との事で是非ドラグ様にご検分をとの事です》
『…成る程。ではソコに置いておけ』
《はっ‼》
健二は証拠品と称する品をドラグ王の執務室の机に置くとそのまま一礼して退室していった
(さて…これが例の魔導具か…)
ドラグ王は既にカズヤよりワールの企みを聞かされており近い内に何者かの手により何らかの品物が私室に届く事を知らされていた
(これが我を屠る魔導具か…どんな代物か楽しみだな)
ドラグは素知らぬ顔で魔導具を眺めていた
ーレイス領ワールの執務室ー
《魔導具がドラグの私室に運ばれたか!でかした!》
ワールは自身の企みが強引ながらも予定通り進んでいる事にご満悦だった
《これであの魔導具が暴発してドラグの命を落とした事にすれば私への嫌疑も晴れよう》
《は。していつ発動させますか?》
《まだ待て。その前に下手人をきっちりと仕立てねばならぬ。フェルトの洗脳は出来ておるか?》
《は。只今魔導師三人掛かりで記憶のすり替えを行っております》
《うむ。それが済み次第発動しろ》
《は!》
ワールは自らの成功に何ら疑問を挟んでいない
もしカズヤが全てを見通していなければ、の話ではあったが。
ーカズヤの部屋ー
《あん☆カズヤ様…そんなご無体な…》
「ふっふっふっ、良いではないか。良いではないかっ‼」
《あぁ~~ん☆》
「…流石にやり過ぎ映像でしたかねぇ?」
《あら、構いませんわよ?》
カズヤの部屋では何処ぞの時代劇かと思わんばかりの「ご無体シーン」が流されている
ビレイより改めて放たれたオウルの視覚と聴覚はラクルによって支配され先程のご無体シーンが流されている
当のカズヤとラクルはその横で作戦会議の真っ最中だった
「と、こんな感じでドラグ王様には罠に掛かったフリをして頂きます、
その擬似映像はこちらですので今と同じ様にラクルさんの手で流して下さい」
《分かりました。でも…》
「はい?」
《あの映像を見ていたら…疼いてしまいましたわ…》
「ぶふぉっ⁉」
カズヤはラクルの魅惑の能力に危うく屈しそうになり盛大に咳き込む
「で、では火急の用件ですので急いでドラグ王様の所へ向かって下さい」
《フフッ…純な方ね☆》
「ゲフンゲフン‼急いで下さいね」
カズヤは顎骨を撫でられていた手を勿体なさそうに振り払うとラクルをドラグの元に向かわせた
「ふぅ。。。危なかったぁ…」
もしカズヤが元の姿で接していたら籠絡されずとも体の一部がヤングマンになっていただろう
そもそもラクルが魅惑の能力を発動していたかも怪しいが。
とにかくカズヤはワールの企みに対して打てる手は全て打った
後はワールの出方を待ってその都度撃退していくだけである
ーレイス領地下ー
《…お前が行おうとした事は何だ?》
「…はい、ワシはドラグ王を暗殺して利を得る為に魔導具を作りました…」
《お前1人の策か?》
「いえ…カズヤが主犯でワシはその補佐役ですじゃ…」
《…よし、洗脳はこれで完璧だな。万が一露見しそうになった時はどうするのだ?》
「はい…この薬を飲んで自害します…」
フェルトの手にはクリムが消滅した時に使われた苛性ソーダが握られている
《この事をワール様とビレイ様に伝えろ‼》
《はっ‼》
これでワール側の作戦はカードが全て出揃ったのだった




