第28話「千里眼かよ?」
今日でパラレル版は完結させたいです。
それではどうぞ!
ーネクロポリス王城ー
『ふむ、実に興味深い…』
ドラグの観察は未だ続いている
『控えし者、そちは何故にアンデッドと融合しておるのだ?…あぁ、成る程。家族を人間に殺された故、か』
「は、ははっ‼ご明察です」
フェルトは震える声で答える
『そちは…ゾンビからスケルトンにのう…酸の沼は熱かったであろうに…』
ん?心が読まれてるのか?
『そう驚かずとも良い。我は「記憶を読む」者である』
…サイコメトラーか。ん?だとすると俺の正体もバレバレか?
『しかし…そちの過去は霞が掛かって上手く視えぬ。…実に興味深い』
…ほっ。良かったぁ~!
『控えし者よ、名を名乗るが良い。』
「私は魔導師フェルトと申します」
『ふむ。そちはこの都に安住を求めておるな?許そう』
「は。有り難き幸せ」
『かの者を我が魔導の臣下としてチェリオに預ける。案内せよ』
ドラウグルの一体がフェルトを連れて下がって行く
(オイオイ、いきなり分断されちゃったけど大丈夫かな?まぁいざとなれば戦ってでも脱出させなきゃ)
カズヤが不安気にフェルトを見送るとそれを察したかドラグが声を掛ける
『安心せい。かの者の希望通り我の下での安住を確約しよう』
「ありがとうございます」
『してそちは…何を求める?』
「ここに来る迄は彼…フェルトさんと同じ思いでしたが今は違います」
『ふーむ…名は?』
「カズヤと言います」
『カズヤを私室に迎える。案内せよ。』
(えっ⁉扱いが違うの?どうなっちゃうのかな…)
そんな戸惑いを無視してドラグは玉座から立ち去った
ーガシャ、ガシャ、カツーンカツーン…ー
カズヤはドラウグルに連れられ廊下を進む
(もし敵対されたら…やむを得ないな…)
カズヤはいつでも戦闘体制が取れる様に能力の励起を行う
《主様、お連れしました》
そうドラウグルは申告するとドアを開けそのまま控える
『うむ、カズヤよ入るが良い。』
「失礼します」
カズヤは室内に入るとその激変ぶりに驚く
黒御影調の城内とはうって変わって室内は白で統一されていた
白い壁、白い床、白い天井。
その中に豪華そうな彫金を施された調度品が整然と置かれている
ドラグはその中央に置かれているソファーに腰かけていた
『座るが良い。』
ドラグはカズヤに席を勧める
「じゃあ失礼します…」
カズヤがおずおずと着席すると程なくメイド姿のスカルが飲み物を置いていく
(骸骨にメイド服って…)
アンデッドの国だから致し方ないのであろうがシュール過ぎる
『さて、そちを此処に呼んだ理由は分かるか?』
「さぁ?分かりかねます」
『おおよそソチが考える通り我は過去に於いて千里眼に近い能力、「分析眼」を持っておる』
「そうなんですか…」
『この眼は過去を全て見通す。だがそちだけは視えなかった。その理由を訊ねる為に呼んだのだ』
(あー、やっぱり?)
『そもそもそちは今スケルトンとしておるが己の意思で生前の姿に戻れるのではないのか?』
「えっ?そ、そうなんですか⁉いやぁ~、知らなかったなぁ~」
…マズイ!自分でもヤバい位の大根だ!
『…うむ。話したくなければ敢えて訊ねぬぞ。安心せよ』
ドラグは自分の能力に自信を持っているのか敢えて深く訊ねようとはしなかった
いずれ彼自身の能力でカズヤの秘密を暴く事が彼のプライド回復に繋がると思ったのだろう
『我に訊ねたい事があるのだな?差し障りのない事には答えよう』
ドラグはカズヤの雰囲気を察してそう言い放つ
(しめた!じゃあ遠慮なく聞きまくろう)
「では…ここの魔物達は貴方が使役しているのですか?」
『それに対する答えは「否」だ。この国は死霊の長が連名で王となり我が代表して「全王」となっておる。
当然その意味では先の問いには是であるが正確には連名の王達への隷属者もおるのだ』
「なるほど…先程案内してくれたスケルトンさんが「主達」と言っていましたが連座制なのですね?」
『うむ。我が国には大別すると我の仲間「バンパイア」と死骨の「スカル」、死者の「ゾンビ」
、空虚の「ゴーレム」、死霊の「レイス」がおる』
「なるほど。その5つの種族の長が連座制で統治しているのですね?」
『そうだ。我等に隷属する者で望むのであればレイスの秘術で「虚ろな意思」を身に宿らせ
下僕として使役しておる。理解は出来たか?』
「あ、はい。では使役されている魔物は強制ではなく自由意思で使役されているのですね?」
『無論だ。一体が背こうが成り手はそれこそ腐る程いるのでな。』
カズヤはドラグの説明になるほど、と得心していた