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ゾンビーノ!パラレル版  作者: とれさん
27/45

第27話 「城下に到着」


ー丸1日後ー


ーガラガラガラガラ…ー


「おい、お前達。街に着いたぞ」


御者のゾンビが声を掛ける


「…これは凄いのぅ」


フェルトはその街並みを見て感嘆の声をあげる


石畳の両脇にこれまた石造りの家々が立ち並び魔物達が行き交う


ネクロポリスと言うだけあって殆どの種族がアンデッド達はだった


ミイラ・ゾンビ・キョンシー・スケルトン・ワイト等々様々な死霊系がせわしなく動いている


ーギャギャアッ‼ー


鳴き声に釣られて上を見るとゾンビや骨になったドラゴン達が屋根をとまって羽を休めている


フェルトはその数に驚いていたがカズヤは違う事で驚いている


「フェルトさん、ここの死霊系魔物には知能と言語能力がありますけど…正常なんですか?」


そう、カズヤの驚きは死霊達の多種多様さではなくその多くが自立行動をし、会話もこなしている点だったのだ


「ふむ、何事にも例外があるのじゃよ」


フェルトがこう切り出して説明してくれる


アンデッドは魂のない「器」の状態で発生する為意思はない

死体から自然に変化してもネクロマンシー(死霊術)で召喚されてもこれは変わらない


だが上位死霊の中には「器」に仮初めの擬似的魂を入れ「意思を持った様に」させる術や

カズヤやパージがそうだった様に非常に稀だが人肉食を拒む等の強烈な思念が肉体に残り

変態後にも生前の記憶や意思を引き継ぐ事はあると言う


「…となるとこの場合は「主達」ってのが意思を持たせていると考えた方が良さそうですね」


「うむ。ただその術には相当の魔力が必要な筈…街を形成する程の数を扱えるとなると…」


(魔王級じゃないと考えられない、か)


最後の言葉を飲み込んだフェルトだがカズヤには的確に伝わっていた


《おい、お前達。ついて来い》


鎧姿のスケルトンに呼び止められ指示される


「何処に連れて行こうとしてるんですかね?」


「流れだと「主達」とか言う者達の所にだろうのぅ…」


《此処に乗れ》


スケルトンが指示した先には魔方陣が敷かれていた


「これは…相当高度な転移魔方陣じゃな」


フェルトは興味津々な面持ちで魔方陣に乗る

カズヤが乗ると直ぐに術式が発動し光に包まれた


「ほぉ~、これは…」


転移した先は何処かの城のようだった

黒御影の様な光沢を持つ石材で作られた柱と壁、頭上には同じ材料の石板に彫刻が施されている

目線と踝の高さに金色のラインが引かれソコから淡い光が廊下を照らしていた


「…雰囲気バッチリですね…この先に魔王がいても驚きませんよ」


「この石には防御陣が組み込まれておるな…素晴らしい」


スケルトンに誘われおのぼりさん状態の二人はキョロキョロと珍しそうに辺りを見回す


《止まれ》


スケルトンに静止を求められ前を見るとただの壁だった


「ん?行き止まり?」


「いや…」


《主様、連れて参りました》


ーシュウーンー


「え?自動ドア?」


「…何とも効率の悪い…」


カズヤ達が驚くのも無理はない

突き当たりの壁だと思っていた部分が音もなく2つに割れ開いたのだ


《野良共、前に進め》


中にいた甲冑姿の魔物が入室を促す


「あれは…ドラウグルか?」


両脇にずらっと控えている甲冑の騎士達は古の騎士の成れの果てだった


「これほどの数のドラウグルを従えるとは…」


フェルトが呟きカズヤは息を飲む


二体のドラウグルに連れられ先へと進むフェルトはこの先に待つ何者かの存在を予感し既に震えている


《控えよ。主様の御成だ》


フェルトは片膝を付き控える

カズヤは棒立ちだ


《控えよ!》


カズヤは全く控えるつもりはない。


ドラウグルが剣を抜きカズヤに振り下ろそうとした時地の底から響く様な声が一喝した


『構わん。下がれ。』


その言葉で剣を振りかざしたドラウグルは直ちに脇に控え片膝を付く

その声の持ち主は静かに中央に置かれた玉座に座りカズヤ達に語りかける


『我がこのネクロポリスの主が1柱、ドラグである。』


(…名前からして吸血鬼かな)


吸血鬼はカズヤの前世でも「不死者の王」と呼ばれる事もあったので違和感はない

だがイメージは全く違っていた


金色の髪に赤い目が強烈な印象を与えるその顔は浅黒く

まるでマタドールの様な刺繍を施された華美な服は盛り上がる筋肉を包んでいる


《ドラグ様、この連中が先般侵入した野良共です》


『…ふむ、実に興味深い』


ドラグはカズヤとフェルトを見て楽しげに笑っていた

今日はここまで…かな?

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