第14話 「新たな旅路part3」
カズヤは村人に一応の理解を取り付けると一旦洞穴に向かった
「フェルトさん、村人の理解は一応得て戻って来ましたよ。ところでこの洞穴は他に出口はありますか?」
「そうか…む?何故じゃ?」
「念の為の保険ですよ。村人達が謝罪するとなると多分その場所はこの洞穴の前になるでしょう?
その時万が一村人達が取り囲んでフェルトさんや俺を攻撃しても逃げ仰せる様にですよ」
「うーむ…お主は存外策士よの。しかし出口は1つだけじゃ」
「では今の内に作る事は可能ですか?」
「この硬い岩盤では無理じゃな。逃げるだけで良いのなら転移が使えるぞ?距離は大した事ないがな」
「ではいざと言う時の為に考えておいて下さいね?
あ、それと他の骸骨達らどうします?完全に撤去するとなると…相当時間掛かりますよね?」
「む?あ奴等は召喚によって呼び出された存在じゃ。解除すれば容易に消えるぞ?」
「そうなんですか?これは良い事を聞いたな…では10体程残して後は解除して下さい」
「囮(保険)と言うヤツじゃな?」
「はい、そうです」
「分かった。では囮を入り口に並ばせておくかの」
「あはは、お願いします」
フェルトと段取りを決めて村に戻る。入り口には既に何十人かが棒等を片手に待っていた
(あら?これは最悪パターンだったかな?)
カズヤは苦々しい表情(は出来ないが)をしつつガストン達の下に歩み寄る
「…その棒とかは?」
「…「最低限の保険」だそうだ」
素手のガストンは呆れて答えた
良く見ると武器?を手に持っているのは老人達が多い
多分直接の加害者だったのだろう。
「も、もしかしたらワシ等を呼んで一網打尽にするやも知れんじゃないかっ‼」
…猜疑心は人を狂わせる、か…
カズヤは表情に出せないので肩を竦めて精一杯の残念アピールをする
「貴方達が武器を持つ事には異論はありません。謝罪に来た人間が武器を携えて現れたのを貴方達が赦せるのならばね」
全く…この程度の事も理解出来ないのかな…
敵意剥き出しの相手に謝罪されて誰が承服するのだろうか?
武器を携えている村人達がどよめく中、カズヤは面倒臭そうに言い放つ
「まぁそれでも良いですよ、これが人の業です。ガストンさん達はこの行いを見て感じた事をお子さん達に繋げないで下さいね」
「…あぁ、全く恥ずかしい限りだ。アイツ等が村の犠牲者を生み出したも同然なのにな…」
この言葉に武器を携えた数人が手から武器を落とした
「わ、私達は…あの時は仕方なかったんだ…」
「そうだ‼俺達は村を救ったんだ‼」
「いい加減にしろ、爺さん共‼」
ガストンは堪えかねて一喝する
「お前達は「先に」無実の人間を追い詰めておいて自分達が仕返しされたら恨んで…
やられないと気付かなかったのか?その為に村人が何人殺されたと思ってんだよ!」
この言葉で残りの老人達も武器を放棄した
「…怖かったんじゃ…力のある魔導師が側にいるのが怖かったんじゃ‼」
「じゃあその家族は何で殺したんだよ!無実で無力な人間を何故追いやったんだよ!」
「…ガストンさん、もう良いです。彼らも恐怖に支配されての凶行だったんでしょう。過去は変えられません。
これからをガストンさん達が変えて下さい、お願いします」
「ああ、俺達が約束しよう」
ガストン達若い村人は褪めた視線を老人達に送りつつカズヤに誓った
「ではフェルトさんの所に向かいましょう」
カズヤは村人達を引き連れて洞穴に向かったのだった
本編の予定稿の投稿が一応終わったのでこちらも投稿しておきます
予定では第16話迄です。