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第4話冥界の王出動

第4話です。短めです。

 

 アルカがアスモに担がれていた頃━━


 冥界を赤い閃光が走った。


「マズい……ホントにマズいッ」


 ぶつぶつと呟きながら冥界を走るのは冥界の王ハデス。


 黒い外套に身を包む彼の紅の双眸は光を放っていた。


「魔眼全開ーッ!」


 更に魔眼を解放してタナトスを探す。


 三千世界の情報全てが流れ込んでくるがこれは彼だから出来る所業である。


 彼以外の神では情報の波に耐えきれず、爆散するッ……らしい。


 そしてタナトスを見つけたのだが……


「げぇッ!?カエレム!?」


 タナトスはカエレムにいた。


 実はハデス……引きこもり気味系純神である。


 仕事はするが冥界から一歩も出ない。


 休日は魔魚と遊泳かペルセポネとイチャイチャ。


 彼は純神や人神、魔族や魔王がいる闇鍋世界になど好き好んで出向きたくは無いのだ。


「ごめんカロンッ!」

「冥界様ッ!?何処」


 冥界の川の渡り守りである彼に謝り魔法を行使した。


「『冥氷の飛翔(めいひょうのひしょう)』!」


 氷の翼を生やしたハデスが空に消えた。


「さ、さぶッ……」


 白銀の世界と化した冥界の川でカロンが震えた。










「着いたッ!」


 冥界の門に彼は降り立った。


 アスクレピオスがもう生存していないことを彼は知ってしまった。


 アスクレピオスを宿す人神の容姿が似ていた為、タナトスの部下が一応報告したのであったがタナトスは何を間違えたか本人と認識。


 そして自分は誤報を受けて彼に命令してしまった。


 ただでさえ『例の件』で冥界に魂が流れ込んで来ているのに“冥王様、『例の件』に乗じて人神を始末しちゃいました?”とか部下に言われたら耐えられない。


 それにペルセポネにも“始末はメッ!”って言われているのだ。


 しかし……


「う"ッ……で、出たくない」


 目の前の門をくぐれば冥界の外。


 一歩を踏み出そうにも膝が震えて踏み出せない。


 外に出るのは何万年ぶりなのだろうか。


 別にカエレムにはいっぱい神がいるから自分が行く必要は無いだろう。

 そんな事より引き返してペルセポネとイチャイチャしたい。


 そんな考えが一瞬過ったが……


『折檻ですね』


 迫り来る魔魚に迸る雷光……フラッシュバックするトラウマ。


 そうだ、彼女がそんな事を赦すハズがない。


「い"ッ、嫌だァァァァァァ!」


 折檻の前には彼の迷いなど塵芥であった。


 こうしてハデスは冥界を飛び出したのであった。











「あ……兜忘れた。ま、いっか」




 果たして彼は間に合うのかッ……





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