第2話
「このダンジョンはいろいろあって消滅します。決して私のせいではありません。私の管理が悪かったわけではありません。老朽化と探索されきってしまいこのまま存続させてもなんだかアースの無駄使いじゃね?だったら解体しちゃえよって神様総会で決まったらしいんですよ。で、今まさに消滅の真っ最中です。」
淡々ととんでもないことを話すフィーナ。
ちなみに「アース」とはインサルの大気中にあふれる星のエネルギーのことで全ての生命はそれを取り込み魔法を使ったり、身体強化したり、超能力の源として認知されている。
体内に取り込めるアース量は個人差があり成長していくにつれて増えていくがやはり個人差はある。
グラスに水を入れてあって飲んで空になったらまた継ぎ足すイメージとも言われている。
もちろん空になるまで使うと保持量のマックスまで回復しないと一切の超能力が使えなくなって当人は弱体化してしまう。回復の時間は保持量と大気中のアース濃度に左右される。
「では、僕はダンジョンの消滅に巻き込まれているってことですか?早く脱出しないとどうなっちゃうんですか?消えちゃうんですか?」
長い解説を経てもまだ混乱中のモーリスにまたしても驚愕の事実が告げられる。
「質問攻めは嫌われますよ、ちなみにモーリス君が落ちたのはトラップとかでなくてただダンジョン消滅の過程で足元が先に消えちゃっただけです。モーリス君が何故か私の探索者レーダーに反応しなくて無人と判断しちゃいまして・・・・エヘ」
「完全にフィーナ様のミスじゃないですか、エヘとかブリッコしても駄目ですから!!早く外に出してください!その後改めて話をします。」
「怒ってるし・・・では、とりあえず脱出しましょう」
光の玉状態のフィーナがまた輝きだしあまりの眩さにモーリスの目がくらみ始め、体が不思議な浮遊感に包まれた。
光がおさまり、モーリスの視力が戻るとそこはダンジョンから離れた森の中にいた。
光の玉と少年が向き合う構図である、フィーナにモーリスが詰め寄り問いただそうとしたとき急にフィーナが点滅を始めた。
「ん?誰からだろう?モーリス君はちょっと待っててくれる?」
念話を受信したようである。
点滅が終わるとモーリスの目線の高さに浮いていた光の玉フィーナがグニグニ、ムニムニと変形し始めモーリスより頭一つ小さい人形になったと思ったら探索者風の装備を身に着けた女の子が喚きながら上の方を向いていた。
あれは私の落ち度ではなくてモーリスと言う探索者が・・・とか、そんな理不尽で無茶なことを言われても・・・、それはあまりにも厳しい・・・
「押し付けといてペナルティー?しかも無期限とかありえないだろ!!神様業界もブラックなのか!!??いつもしわ寄せは下っ端の現場サイドだし、女神の力のほとんどを封印ってもうどうしたらいいの・・・・」
怒ったり怒鳴ったり泣いたりと忙しい少女に向かってモーリスは意を決して話かける。
「あの・・・落ち着いてください、そしてどちら様ですか?」
少女の情緒不安定な姿を見て落ち着きを取り戻しているモーリスに顔を向けた少女はもう何度目か解らない衝撃の事実を告げる。