表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/69

源氏の世界⑤ 好きな男子の探し方

 平安トリビアをご紹介している「源氏の世界」。②では男子がどうやって女子のことを好きになるかを書いたけれど、今回は女子バージョン。お出かけもできない箱入り娘(イマドキこんな表現通じる?)がお気に入りの男子をどうやって探すかのお話。


 学校にも行っていない、友達もいない女の子(お姫さま)はどんな男子がいるのかも知らないの。ここで一番頼りになるのが、身近にいる女房(お付きの女中)かな? 女房には女房のネットワークがあるからそこのウワサ話を姫さまにも流すのね。友達がお仕えしている若君はとっても素敵だとか、カッコいい()()()とか。


 それから自分のお父さんはある程度の官位の役人だから、家へもお客として多くの貴族がやってくるの。彼らの姿を女子達は部屋の中から見ることができたのね。御簾みす越しにね。それにだれそれは蹴鞠けまり(当時の貴族のたしなみ。今でいう数人でするサッカーのリフティング?)がとても上手だ、とか、だれそれは和歌の名手だ、琴や琵琶がうまいのはだれそれだの噂が飛び交うの。

「あの人、かっこいいわ」

「あら、こっちもイケメン」

「あの方の琴が聞いてみたいわ」

 なんて思うこともあったでしょう。けれども女性の側からアクションをおこすことはできないのよね。お父さんに「あの人のことが気になるんだけど」とうっすら伝えるのがやっとだったかもしれないわね。それも人づてに。あくまでもうっすらと。お父さんが娘につりあうふさわしい相手だと認めれば、お父さん経由で男子に話を持ち込むことはあったかもしれないわよね。

「いや、うちの娘がね、これが結構キレ―でね、年頃なんだよねぇ」

 なぁんてつぶやいてみるのです。カレの前で。


 そしてそれとなく宴会などを開いて若い男子を家に呼ぶのです。


 やれ花が咲いただの、やれからの珍しいものを取り寄せただの、特に何もないなら月でも見るべ? だとか、もうなんでもいいからとにかく飲もうぜ、だとかで宴会が行われるのです。


 そこで行われる舞や歌などを見て(また御簾ごしね)、素敵な人だわとうっとりする。

 もしくは、お昼間に行われる蹴鞠けまり(今でいう大人数でするリフティング大会)でカッコいいわぁとときめいてみたり。


 今だって歌って踊れるあの大人数のダンスグループやリフティングが得意で運動神経のいいサッカー選手はモテるでしょ? 1000年前も同じこと。


 お父さんもこの男だったらいいかな、と認めたのなら

「娘にラブレターでも書いてみる?」

 とけしかけてみる。もしくは

「年寄りは夜が早くてね」

 なぁんて言いながら自分は寝殿(主の寝室)に引き上げて、暗に娘の部屋に行ってもいいよと促してみる。


 男子の方もまぁつきあってみてもいいのかな、と思えばラブレターや和歌を贈る。こうして彼女との文通のお付き合いが始まるのかな。


 まぁ、想像もつかないくらいに回りくどい。見知らぬ人とでも簡単にチャットができるようになった現代とはあたりまえだけれど、比べようにならない世界よね。でも、そうした回りくどい行程を経ながら恋しい気持ちが増幅していくのかもしれないわよね。

「そこまで焦らされるなら絶対会ってやる。彼女を落として見せる!」とか

「そんなにいいコなの? くれるラブレターも可愛いしな」ってね。そしてそんな情熱的な歌がいくつも届けば

「あら、そんなにまで私のことを……」

 とこちらも盛り上がるのかもしれません。あくまでも推測だけどね。


 今の子達には信じられないほどに女子からの好き好きアプローチはできない時代だったのよね。それでも百人一首などを見ていると、恋多き女性はやっぱりいたみたい。どうやってアプローチしたのかしらね? それともいいオンナだから次々男子が言い寄ってきたのかしら?

 源氏物語にもいるのよね、女子から源氏にアプローチした人。夕顔さんがその方です。身分も不釣合いで、まさに眩しく光るような源氏の君に自分から和歌を贈ったの。自分からの押せ押せの恋愛しかしたことのない源氏くんはそりゃあ……、ときめいたでしょうね。



☆【超訳】源氏物語のご案内

源氏物語を【超訳】しています。

よかったらご覧になってくださいね。

https://ncode.syosetu.com/n8727fe/


☆【別冊】次回予告

topics5 だから言わんこっちゃない

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ