表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あの瞬く星まで  作者: 天乃 星
2/4

第二話

「一年四ヶ月と二十五日」

  毎朝、自分の部屋の天井を見つめながら、最初に口にする。

 あの日(・・・)から何日経ったのかを……

 その行為に特にこれといった意味は無いが、自分への戒めとあの日の事を忘れないために、毎朝呪文のように呟いている。

「お兄ちゃん、起きてるー?もう朝だよー」

 朝の日課も終え、起き上がって瞼を擦っていると、実妹である美晴みはるの声が部屋の前から聞こえた。

「ん、ああ今起きたよ」

「早く起きないと遅刻するよー」

「うん、わかった、今から行くよ」

「ならいいけど、お兄ちゃんの分の朝ご飯もできてたよ、伝えたからねー」

  そこまで言うとドタドタと階段を降りていった。

  朝から元気なものだ、と思いながら俺はまだ新しい高校の制服に袖を通して、家族のいるリビングに降りた。

  降りてきてみると、俺以外の家族全員と綾姫あやめがいた。

「どうして、お前がここにいる?理由を十文字以内に説明しろ」

「おはよう。昨日ぶり!」

「説明になってないから出て行け」

「ちょっとちょっと、それはないでしょー。大体十文字でなんて無理よ!」

「まあまあいいじゃない、星斗。小さい事は気にしないの。それに美人と学校に登校できるなんていいことじゃない」

  俺と綾姫が言い合いをしていると、母さんが俺をなだめてきた。

「ほら、陽子(ようこ)さんもこう言ってるじゃない!それに彗斗けいとさんもさっき、『星斗は今日、朝からいいことあるなー』って言ってたもん」

「父さん、母さん、こいつと登校すると良いこと起きないんだよ……」

「なによー、せっかく人が朝の弱い星斗のために迎えに来てあげたのにー」

「俺は頼んでいないし、美晴がいるからわざわざお前が来なくても大丈夫だ」

「むかっ!大体、星斗が――」

「はい!そこまで!とりあえず星斗は朝ごはん食べる!綾姫ちゃんは美晴と一緒にテレビでも見とく!お父さんは早く準備する!」

  綾姫が俺に言い返そうになったところで、見兼ねた母がパンっと手を叩いて話を終わらせ、三人に明確な指示を出した。

『はい!』

  息ぴったりに、三人とも大きな声で返事をした。



「父さん、おはよう」

 一悶着あった後に父と話をした。父と俺は良く一緒になって、母に叱られる。

「おはよう、星斗、今日も大変だな……」

「お互いにね、朝から疲れるよ」

「こういう日もある、仕方ない」

「ハァー。そうだね、今日も頑張っていこうね

 父さん」

「そうだな……」

『ハァー』

 お互いに溜息を交え合いながながらも、父と話しているうちに気も晴れ、気づいたら、いつも家を出る時間になっていた。

「じゃあ父さん、母さん達(・・・・)行ってきます!ほら早く行くぞ、美晴、綾姫」

「うん、じゃあ行ってきますね、彗斗さん、陽子さん……」

「もう、待ってよお兄ちゃん。お父さん、お母さん行って参ります」

「はい、行ってらっしゃい!三人とも」

「気をつけてなー」

  二人の見送りを受け、俺たち三人は足早に家を後にした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ