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数年後


 あのワンダーランドの事から数年。

 私も大学生になり、涼太と礼二も自分の進む道を歩んでいる。

 涼太はサッカーのプロ選手になり県内のチームに所属して頑張っている、礼二は医科大学に進んでいる。

 私にも夢がある。心理学の勉強をして、私のような経験をしている小さな子の為に、何か出来ないかと日々勉強中だ。


 あれから、少しだけ我が家の状態も変わった。

 明日香が見つかった事で、両親が口汚く喧嘩をする事はなくなった。

 とはいえ、いずれは離婚するのだろうと思ってはいるが、昔よりは円満に離婚が出来るのではないかと予想している。


 涼太、礼二とは、今でもちょくちょく会って世間話をしたり、あちこち行ったりと仲良くやっている。

 ただ最近、なんだか二人の様子がよそよそしく感じる時がある。なんというか少し緊張しているような、そんな感じ。


 事件の方はあまり進展がないみたいで、一時期大きく取り上げたテレビや新聞社も、最近では全く見かけなくなっていた。


「お待たせ」


「弥宵ちゃん、おはよう」


 カフェでにこやかに笑って私を出迎えてくれたのは、野木綾のぎあや。大学で出会った医者を目指している友人。

 今日は、学校も休みなのでどこかに出かけようという事なり、とりあえずお茶をしようと大学寮近くのカフェで合流した。

 今年の夏も、あの時と同じ様に暑いので無意識に冷たいコーヒーを頼んでしまう。


「今日、どうする?」


「うーん、どこかに洋服見に行ってみる?」


「いいかもね」


 明日香の事があってから私自身、気持ちの整理がついたかのようにアクティブに行動出来ていると感じていた。

 明日香の明るさがうつったのかも知れないと、勝手に思っている。

 

「そういえばさ、弥宵ちゃんって隣のK県出身だよね?」


「うん、どうしたの?」


 彼女は向かいの席から、こちらに身を乗り出して、


「ねぇ、ワンダーランドって知ってる?」


 綾ちゃんにはアノコトを言った事が無かったので、急に出たその名にゾッとした。


「な、なんで?」


 声が震えてしまう。


「ん? そこの出身なら知ってるかなあって」


「うん……知ってるよ」


 バレない様に平静を装っているというのもあるだろうけど、彼女は私の反応に気づかず、いつもと変わらない風に話しかけてくる。

 

「それで? その、ワンダーランドがどうしたの?」


「あそこって、心霊スポットになってるんでしょ?」


「前はね」


「前?」


「あそこに遊園地があった時は、って事。今は更地になっていて、なんにも残ってないよ」


 そういうと、彼女は背中を座席につけて、


「そうなの?」


「うん。一年位前になくなったんだよ」


 さすがにあんな事があって以降、あの場所には行った事はない。

 新しいトラウマ、なんだろう。


「うーん?」


 綾ちゃんは、首を左に傾けて唸っている。


「どうしたの?」


「だってさ、話が違うんだよね」


「話?」


「うん。これ見てよ」


 そう言うと彼女は携帯を操作して、その画面をこちらに向ける。


「ワンダーランドの跡地に出る幽霊……」


 跡地。


「この書き込みによるとね、ワンダーランドの跡地に潰れてはくなったはずの遊園地を見たって人が居るんだって」


 誰かに、左肩を叩かれた気がした。


「それにね、その場所で遊園地に流れるような陽気な音楽を聴いた人も何人も居るって」


 右手で、触れてみたがそこには誰の手も置かれてはなかった。


「ねえ、今度行ってみない?」

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