表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬金術師アーノルドの自由気ままな毎日  作者: 建山 大丸
3章 森の集落と紙人形、である。
42/303

集落跡地の惨劇とでも言えばいいのかな

戦闘描写や戦術描写なんかできません。ごめんなさい。


 あたしの名はアリッサ。帝国でたった二人の現役特Aクラスの探検家さ






 あたし達が森の家を出て3日目の朝、今あたし達はデルっち達が数年前まで暮らしていた集落跡地付近にいる。


 「待たせたね、見てきたよ」


 何処からともなく、聞きなれた声がきこえ、声の主が姿を表す。先程まで集落跡地を空から偵察してきたパットンだ。前回は時間がなかったのと、後回しにするかもしれなかったので詳しくは偵察してなかったようだ。


 「どうだった?パットン」

 「そうだねぇ、視認できた人影は14かな。建物にもいそうだったんだけど…………」


 パットンはそこまで言うと少し険しい顔になった、何かあったようだ。


 「近くで見たらわかったけど、あれ、人じゃないよ。ボクが見たかぎりでは全部人や亜人に乗り移ったり、姿を模した魔物だね。あと、犬が数匹と犬に模した魔物が少しかな」 


 パッと見ただけだったらわからなかった情報だ。犬は厄介だ。あたしと同じで鼻が良い。風下から接近しないとばれる可能性が高まる。

 生き物に模した魔物というのは、純魔力の吹きだまりから発生するガス状の生命体で、意思の構成魔力を食い物にしているらしい。人に乗り移ったりすることでその意思の魔力を食い物にして、一定量の意思の魔力を確保したら人や獣などの格好を模して増殖するようだ。そうすることで人や獣の生活区域に紛れ込んで捕食を繰り返していくらしい。


 あたし達が今まで魔者と言っていて、新しく壊れた人間と言っていた存在の大半はこの魔物のようだ。


 この魔物は食事のために、意思の構成魔力が多く感じる方に向かっていく傾向があるので、発見次第駆除が必要になる魔物ということみたいだ。


 「意思の魔力を大量に摂取すると、知性と能力が成長していってとても厄介な存在になるんだけれど、見た感じだと、ほとんど成長していない感じだよね」


 パットンはそう言って、報告を終えた。

 リーダーは、偵察を頑張ったパットンを労うと、持ってきた地図を広げる。


 「この集落跡地はだいたいこのあたりだとデルクは言ったな」


 リーダーの言葉にデルっちは頷く。


 「森の家、辺境の集落、シンが森の民を見たといった地点はここだ」


 そういうと、三つの印を地図に書き込む。三つのうち、近いのは森の家、遠いのは辺境の集落だった。おそらく、こいつらは森の家に向かおうとしているのかもしれない。だとしたら、遅かれ早かれ衝突することになったかもしれない。

 そう思っていると、集落跡地を監視していたハーヴィーから声が上がる。


 「隊長、敵が数名こちらの様子を伺っています。気付かれている感じではないのですが、疑っているようです」

 「あぁ、多分ボクが偵察に行っている間にここにいる誰かの意思の構成魔力を感じ取ったんだね。今はボクの魔法で認識が曖昧になっているから、連中もわからないのかもしれないね」

 「すいません、私でしょうか」


 パットンの言葉を受けて、まだ、気配をうまく隠すことのできないミレちゃんが反応する。

 でも、相手がそんな存在だなんて知らなかったんだから、ミレちゃんを攻める気はあたしたちには無い。

 この子はこの短期間でやれることはきっちりやってきた子だ。その上での出来事ならばもうどうしようもないことで、今はその対応を決めることが重要さ。


 「気にするな。誰が原因だろうが関係が無いことだ。それよりもどうするかだな」


 同じことをリーダーも考えていたようで、ハーヴィーには引き続き監視を頼み、残りのメンツで現状の対応を決めることにする。

 

 「このままパットンの結界が効果があるなら、このまま突入して一気に殲滅しましょうや」

 「却下。デルクとミレイの安全が確保しきれない」

 「じゃあ、おれとミレイねえちゃんとハーヴィーにいちゃんとパットンが援護するために後方に残って、にいちゃん達三人で突入するっていうのは?」

 「まあ、それが1番か?まずは遠距離から攻撃して、出てきたところを突入して殲滅か」


 多分、リーダーは作戦は考えていると思うけど、他のメンバーの考えで実現可能な物をやろうと思っているような気がする。これもきっとリーダーの中では戦闘訓練なのだろう。まぁ、実際に本気をだせばあたしとリーダー二人いればこれくらいの数なら何とかなるはずだしね。

 今回は、対人戦闘の経験を持っていないハーヴィー・ミレちゃん・デルっちの経験と覚悟を積ませるつもりなんだろう。ハーヴィーはこれかれも探検家を続けるに辺り、絶対に対人戦闘は必要になる。今回も魔物がほとんどでも人間や亜人もいることはパットンの言葉から分かる。

 ミレちゃんやデルっちも、これからもあたし達とこういうふうに同行することになれば自分で手を下さないと行けなくなることもある。そういう覚悟は早くに持っておいた方がお互いのためだ。


 暫く話し合いをしているとハーヴィーから声がかかる。


 「連中、集まり出しました。おそらく、こちらを襲撃に来るようです」


 集落跡地の広場にはどうやら20近い魔物の群れと、数匹の野犬が集結してきたようである。

 各々武器を片手に雑然としているらしい。どうやら全員でこちらを襲撃するつもりみたいだ。


 「気付かれたのかな?」

 「うーん………。連中、良質な意思の構成魔力を嗅ぎ付ける執念は凄まじいからねぇ」


 デルクの言葉に飄々とした態度で答えるパットン。緊張感が無いのは余裕があるのかねぇ


 「ですが、一気に殲滅するチャンスですぜ隊長」

 「そうだなぁ、本当は、アリッサに囮役をやってもらって釣り出そうと思ったんだが、それ以前の話になっちまったな」


 どうやら、リーダーとあたしが考えていたことは一緒だったようだ。あたしなら、あの程度の連中に捕まることは無いし、釣り出して集めたところをミレイの魔法とデルっちとハーヴィーの攻撃で数を減らしてそのあとあたし達3人で突入というやり方をしようと思っていた。きっとリーダーも似たようなものだろう。


 「あの、一つ良いですか?」


 ハーヴィーがやられる前にやれの方針で、攻撃を仕掛けようかと話し合いはじめたときにハーヴィーが手を挙げる。


 「これからアーノルドさんの煙玉を使ってみたいと思うのですが……」

 「先生の煙玉?いいけど、どうやってあそこまで飛ばすんだ?」


 そう、まだあたし達の目では集落の存在もかすかに見えるだけ、戦闘の陣形を作る予定の場所までまだ移動することになる。その遠距離から煙玉の使用をハーヴィーは提案してきた。どうするつもりなんだろうか?


 「矢先に煙玉をつけて、ここで種火に魔法を玉の中で発生させてから放ちます。成功しても失敗しても連中はきっとこっちに来ますし、やって見るだけでもいいのではないかと」

 「でしたら、矢が何秒ほどで届くか教えていただけますか?種火の魔法に時限発動の術式を加えます」

 

 ハーヴィーの言葉に乗るミレちゃん。時限発動って、魔法陣を描くのが結構大変だってリリーが言っていた気がするけど、この子もリリーが認めてるだけあって才能があるんだねぇ。


 「センセイの道具の効果も報告しておきたいところだし、やれるならやろうか。意見のあるものはいるか?」


 特に誰からの意見もなかったので、ハーヴィーの案を適用して、最初に煙玉を送り込むことになった。






 「あっちはどうだ?ハーヴィー」

 「はい、先程より数が集まり、何やら相談をしているようです。こう見ていると、人間や亜人の集団が犬を連れているようににしか見えません」

 「彼らの意思伝達は粘状生物と同じで原始的な意思の魔法だからね、今の言葉や態度は特に意味がないんだよ。もっと餌を取って賢くなると言葉を普通に理解するから、見分けるのが難しくなるんだよね」


 ハーヴィーが軽く抱いた疑惑にパットンが答える。

 とにかく、面倒なことになる前に駆除しないといけない対象ってことなんだね。それならさっさと駆除してしまおうじゃないか。

 ハーヴィーもそう思ったようで、先端に煙玉の刺さった矢をつがえる、その後にミレちゃんが煙玉に小さな魔法陣を書いていく。本来の大きさよりも小さいと効果が弱まるから、魔力を圧縮して書き込むんだそうだね。詳しいことはわからないけれど、相当な技術なんだろうなってことはわかる。


 「先程も言いましたが、三秒後に発動するようにしています」


 ミレちゃんの言葉に頷くハーヴィー。

 少しの時間、静けさが周りを包み、


 「時限術式を起動します!」


 その言葉と共に、ハーヴィーが弓をいる。風切り音が一瞬と共に、物凄い速さで矢が集落に向かっていく。

 そして、時限術式が発動したらしく、向かっていった方向から少しずつ煙が上がってきた。


 「風下側だから、移動しよう」


 そう、移動の最中にばらばらに動かれると面倒だったのでハーヴィーには風下側から射ってもらったのだ。少々の風だったが全然苦にはならなかったようだね。この子もたいしたもんだね。リーダーが、なかなか筋の良い奴を見つけたって言ってたけど、それは嘘じゃなかったみたいだね。

 どうも、煙の上がった方向が騒がしくなってきたね。耳が良いデルクはが言うには、悲鳴や咳込んだりして苦しんでいる声のようだね。センセイの煙玉は効果がかなりありそうだ。つまり、急いで逃げないと、あたし達まで巻き添いを喰らうことになりかねない。全員で、できるだけ足早に風上側に迂回しながら退避した。


 あたし達がさっきまでいたところにまで煙が到達する前に、無事に退避することができたあたし達は、風上側から少しずつ侵入すべく移動をしている。

 少しずつ集落跡地に近づくにつれて悲鳴のような、鳴き声のような声が聞こえてはいたんだけど、少し前からぱったりと音が聞こえなくなった。とりあえずまだ煙は上がっているのでハーヴィーが視認することは難しいみたいだけれど、デルクからは、何か声のようなものは聞こえているようだ。

 煙玉で、敵の無力化を行うことができれば、これはこれで爆発の魔法の道具以上に危なっかしいものを作ったということにならないのかと疑問に思うけれど、作っているセンセイが気にしないのならば仕方ないと思う。だって、センセイだから。


 そんなことを思いながら、煙を避けるように時折迂回をしながら集落に近づいていく。先頭はリーダーとドラン、そのいくらか後ろをデルっち・ハーヴィー・ミレちゃん・パットンが付いていく。あたしは、1番後ろで、何かあったらすぐにどっちにも行けるようにしている。

 どんどんと近づくにつれて、集落の状況が見えてきた。うん、これは酷いね。ドラン以外は皆若干引いている。

 煙の影響をモロに受けた魔物達は、あるものは目とのどを掻きむしるようにしていたり、あるものはうずくまって呻いている。逃げようとしたのもが全くいないのがとても不思議に思ったが、おそらくそこまでの知性がなかったのだろう。すべての固体がこの位置で倒れていた。普通の人間や亜人ならば、ここまで被害が及ぶ前にこの場から逃げようとしたりして、被害が多くならないようにしたのかもしれない。そこまではわからないけれど、一つだけわかったことがある。


 この道具は、凶悪だ。


 そう思っている中、リーダーとドランが倒れている魔物にとどめを刺していく。人型とは言え、すでに目と喉をやられてまともに動けなくなっている魔物だ。とどめを刺していくのはたやすい。だけど、二人ともある程度とどめを刺していったら、そこで動きを止める。


 「ハーヴィー、デルク、ミレイ。残りはお前達がやるんだ」


 リーダーのその声に、三人がビクッと身体を動かす。

 まあ、三人の気持ちは分かるけどね、これからセンセイと共に行動するっていうことは、こういう魔物だけじゃなくて、実際に壊れてしまった人間や亜人達とも戦っていくことになるかもしれない。そのとき人型生命体だからといって、躊躇するならセンセイ達と留守番をしてもらった方がいい。いや、むしろハーヴィーとミレちゃんに関しては戻ってもらって帝都で活動したほうが良いかもしれない。

 戦うことができない甘ちゃんは、センセイとサ-ちゃんくらいで良い。むしろ、サ-ちゃんにはできれば戦ってほしくないなぁ。


 ハーヴィーは、それがわかっているのか、すぐに気持ちを切り替えて人型の魔物にとどめを刺していく。

 ミレちゃんは、そもそも敵性生物にとどめを刺したことがなかったみたいですごく躊躇っていた。だけど、最初は獣にとどめを刺して、意を決して人型にも手を下した。顔は青ざめて、身体は震えていた。だけど、しっかりと目を背けずにとどめを刺していった。あたしも、護衛任務で初めて夜盗を殺したときは、同じようになった覚えがある。まだあの時の感触を覚えている。ドランとリーダーやウォレス辺りは気にしなさそうだけど、探検家でもないミレちゃんにはきついと思う。でも、センセイと共にいるというためには必要なことだから耐えてほしいと思う。

 デルっちは、あまりそういうものに抵抗がなかったのか、さくさくととどめを刺していく。きっと、人型であろうがなんであろうが、敵であればたおせということを教育されていくるのかもしれない。平和な帝国領土内と違い、ここは、いろんな敵がいる大森林だから。きっとそういうことなんだろう。

 





 そんな感じでどんどんと処理が進んでいく集落跡地。戦闘になると思い蓋を開けると一方的な蹂躙でしかなかった。

 そんな中とどめを刺そうと一体の魔物に近づくデルっち。だけど、その動きが止まる。


 「…な…なんで?なんでいるの?」


 デルっちは、先ほどと違ってとても動揺している。不審に思い、あたしはデルっちのもとへいく。


 「デルっち、どうした……」

 「!?」


 その声に反応して一体の魔物がこちらに顔を向けてくる。その顔を見てデルっちの動揺はさらに大きくなった。


 「なんで、ここにいるんだよ!おじさん!」


 デルクの声に反応しておじさんと呼ばれたそれは涙を流してまだ開けられない目をこちらにむけて


 「デルク……でるくぅ…さーしゃぁ」


 といってうごめいていたのだった。






何書いているのか自分でもよくわからなくなってしまいました。

いつもよりさらにわけのわからないことになって申し訳ございませんでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ