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錬金術師アーノルドの自由気ままな毎日  作者: 建山 大丸
9章 南方地域の大森林と誘拐事件、である
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捕まっている子供たちを見つけたよ!


 私の名前はサーシャだよ! アーノルドおじさんやひいおばあちゃんのような立派なれんきんじゅつしになるために頑張っているんだよ!






 質の高い意思の構成魔力を頼りに進んでいた私たちは、途中でお猿の魔獣や蛇の魔物に会っちゃったけれど、一緒にいる夜の一族のおじさんが使った意思の魔法のおかげでまた先に進めるようになったんだ。

 だけど、おじさんは疲れちゃったから持っていた疲れによく効くお薬を飲んでもらって一緒にまた進むことにしたの。


 『…………水が甘いな……』

 『すっぱいものを食べたり飲んだりすると、そう感じるんだってアリッサお姉ちゃんが言ってたよ』

 『もう少し何とかならないものなのか?』

 『これでもふくさようを抑えてるんだよ。アーノルドおじさんが作るお薬はふくさようを抑えるの忘れること多いからもっとすっぱいんだよ』

 『これで抑えているのか…………まぁ、シャキッとはした気はするが…………』


 すっぱい方のお薬を飲んだおじさんは、私が魔法で出したお水をもう3回くらいお代わりして飲みながら先を進んでいるの。

 ずっと朝から夜まで道具作りをしていて疲れちゃうから、5つ分の構成魔力を一つにして作ったお薬は良く効いたみたいで、少し前までふらふらしていたおじさんは、もうしゃっきりと歩いているんだ。


 『もしも、疲れちゃったら言ってね。まだお薬あるからね』

 『……休んでいられる状況ではないから仕方がないんだが、複雑な気持ちになるな』

 『変なこと言っちゃった?』

 『いや、大丈夫だ。気にしなくて大丈夫だ』


 おじさんは、一回こっちを見て困ったような顔をするとまた歩き出したから、私もそのあとを着いていくの。

 おじさんの構成魔力を探す力で、少しずつ捕まっている人たちがいると思う場所へと進んでいくんだけれど、途中で私たちの森で見たことのある何回かお猿の魔獣や二本角の猪や、見たことのない獣とかと出会っちゃったりいたんだ。

 だけど、おじさんの魔法で私たちがわかりづらくなっているから戦わないで先に進むことができたんだけれど、また、別の広い場所に来たところでおじさんは私を止めたんだ。


 『どうしたの? また蛇?』

 『いや、それとはまた別の奴だ。森蝙蝠だ』


 そう言っておじさんは広くなっているところの天井を指差すの。

 一生懸命見たけれど、暗くて何がいるのか全然わからなかったよ。


 『森コウモリ?』

 『こっちの大森林にいる生き物で、目がほとんど見えない代わりに耳が凄く良い。音の反射などで生き物の存在を感知するんだ』


 本当は森に棲む生き物で、こういう洞窟には棲まないんだっておじさんが言っていたから、きっと魔法なのか、取り憑いたのかわからないけれど、きっと霧の魔物の仲間なんだって言うことは分かったの。


 『君達のところに棲む蛇と同じように、認識阻害の魔法とのが相性がよくない。こっちの大森林での夜の一族の天敵みたいなものだ』

 『そうなんだ。じゃあ、私たちも見つかっちゃってるの?』

 『いや、どうやら反対側を見てじっとしているから気付かれてはいないはずだ。もしもこっちを見ていたら気付かれたかもしれないな』


 きっと、森コウモリが見ている方向に進めば

 私たち、運が良かったみたい。

 だけど、このままだとこれ以上先に行くのは難しそうだっていうのは分かったの。


 『じゃあ、倒さないとだね……おじさんの魔法でどうにかできないの?』


 私の質問に、おじさんは首を横に振って返事をするの。


 『あいつらに気付かれずに魔法をかけるには、射程が足りない。私の魔法は効果は高いんだが射程がそんなに長くないんだ』

 『その、森コウモリって全部で何匹いるの? 他に何かいるの?』

 『他の生物の意思の魔力は感じない。森蝙蝠は5匹だが……どうするつもりだ?』

 『じゃあ、私の魔法で倒すよ』


 私はそう言うと魔法を使うために【水】の構成魔力を引き寄せて始めるの。

 前におじさん達と魔鶏蛇っていう鶏と蛇がくっついた魔物と戦った時に、ちゃんと戦うことができなかったから、リリーおねえちゃんに教わって、前よりもちゃんと戦える魔法を使えるよう練習したんだ。


 『水弾か? だが、魔物を一撃で倒すほどの構成魔力を具現化させると巨大になって、壁に当たると大きな音がするぞ?』

 『違うよ、水の槍を作って突き刺すの』


 私は、錬金術でたくさん数を作る構成魔力を一つ分にまとめる時みたいに、最初に大きな槍をイメージして、それをギュッてして細い槍にするイメージを作るの。

 あっしゅく作業、私はおじさんやミレイお姉ちゃんほど上手にできないし疲れるけれど、これくらいならまだ大丈夫。

 作る槍は、ウォレスおじさんの所で見た先が三つに分かれてているものをイメージしてるんだよ。


 「先が一つの物よりも貫通力は低いが、当てやすくはなるし何かを捕まえたり絡めたりするにはこちらの方が良いだろう」

 「あ、だからフォークも先が分かれてるんだ!」

 「お前は、何でも食事に絡めるんだな」


 お兄ちゃんのなるほど! っていう顔を見てため息をついたウォレスおじさんを思い出しながら、今回はどこにいるかよくわからないから当てやすくするために先が三つに分かれた槍を作ることにしたんだ。


 おじさんの意思の魔法とは違って、魔法をで何かを作るときに光っちゃうから見つからないか心配だったけれど、他の生き物はいないようだし、森コウモリは目が悪いみたいだから、きっと大丈夫だと思って私は魔法を使うことにしたの。


 『子供がここまでの凶悪な水の槍を作れるとは…………』

 『私は優秀だからねっ』


 おじさんが驚いたような声を上げて私が作った水の槍を見るから、つい嬉しくなっちゃって、ひいおばあちゃんが口癖にしていた言葉を言っちゃった。

 そして水の槍を五つ作ると、私はおじさんに森コウモリの位置を指を指してもらって教えてもらうの。


 『あそこと、あそこ……あそこに二匹、それとあそこだ』

 『……やっぱり見えないから、おじさん指差してて。そこに向けて撃つね』

 『わかった』


 そうして、私はおじさんが指を指したところにできる限り勢いをつけるように制御して水の槍を撃ったの。

 小さく何かが鳴くような声が聞こえたりしたけれど、お水が天井に当たった音で消えちゃってちゃんと当たったのかよくわからなかったの。


 『……外れちゃったかなぁ』

 『…………全部命中した。そして、全部即死だ。恐ろしい威力だな…………』

 『全部倒したの? じゃあ、先行こうよ』

 『あ、ああ』


 おじさんの顔が固まっていた気がするけれど、何かあったのかな?






 『もう少しだな』


 おじさんがそう言って少しすると、少しずつ誰かが泣いているような、そんな音が聞こえてきたんだ。


 『早く行かなきゃ!』


 そう言って走り出そうとした私を、おじさんが抱えるようにして止めるの。


 『待て、ここから走ったところで時間は変わらない。慌ててはいけない』

 『でも!』

 『あと、大声を出さない。魔法の効果が薄れる上に、洞窟だから音が遠くまで響く』


 おじさんがそういうと同時に、奥の方から、


 『誰かいるの!? やだ! 食べないで!』

 『お姉ちゃんを返して! お姉ちゃん! おねえちゃぁぁぁん!』


 私の声が聞こえちゃったみたいで、奥の子供達が大声をあげだしちゃったんだ。


 『あ…………』

 『魔獣だらけの場所で不安になっている子供達の近くで知らない声が聞こえればこうなる…………こっちにやってくる魔物の意思の魔力は感じない……か。まだ、気付かれてはいないようだ』

 『……ごめんなさい……』

 『やってしまったものは仕方がない。子供達の声に魔獣が気付いてこっちに来る前に急ぐぞ』


 おじさんはそう言うと、私を抱っこして走りはじめたの。

 私が迷惑をかけちゃったから、おじさんに無理させちゃってるってわかったから、すごくごめんなさいっていう気持ちになったの。


 おじさん、ごめんなさい……。


 声のする方を目指して走ると、そこには何人もの小さい子が固まって泣いているのがなんとなく見えたの。

 だから、私たちは一度おじさんの魔法を解いてから小さい子たちの前に姿を見せることにしたの。


 『みんな、驚かせちゃってゴメンね。助けに来たんだよ』

 『大きな声を出すと、魔獣達がやってくる。泣くのを我慢できるか?』


 近づいて来る私達の姿を見た小さな子達は怖くて泣きそうにだったけれど、私とおじさんの声を聞いたら静にしてくれたの。

 みんな、良い子達だよ!


 『おじさんと、おねえちゃんは、私達を助けに来たの?』

 『うん。私と一緒にいる強い人たちが助けに来てくれるから、先に皆を見つけにきたんだよ』


 私がそう言うと、子供達が皆嬉しそうな顔を見せるの。

 助けにきて良かったよ!


 ここにいた子達は全部で10人で、夜の一族の子が6人で森の民の子が1人、後は獣人の子だったんだ。


 『でも、この子のお姉ちゃんみたいに、魔獣に連れていかれちゃった子達もいるの』

 『おねえちゃん……おねえちゃんが……』

 『おじさん…………』


 私がおじさんの方を見ると、おじさんは仕方がないといった顔を見せてから、


 『しょうがないな。やれるかわからんが、また探しに行くとしようか』


 そう言ってくれたんだ。


 『もしかしたら助けることができるかもしれないから、ここで静かに待っててね』

 『魔獣が来るよ。恐いよ』

 『大丈夫だよ。近くに来れない魔法をかけてあげるから』


 私は、持っていた結界石を使って子供達の周りに結界を張ったの。


 『見えない壁の魔法だよ。これで、魔獣は近くに来れないからね。もしも、知らない人が来たら、お名前を聞いて』


 私は、アーノルドおじさんたちがこの子達を見つけても大丈夫なように、おじさんたちのお名前を子供達に教えるの。


 『今の名前の人たちは、私のお友達だから助けてもらってね』

 『……うん。ありがとう、おねえちゃん』

 『いくぞ、お嬢ちゃん』

 『うん。みんな、もう少しだから泣かないでね』

 『おねえちゃん、頑張ってね』

 『うん! 頑張るよ!』


 私はそういうと、小さな子達と別れてまたおじさんと捕まっている人たちを助けに向かうために洞窟を歩きだしたんだ。

 アーノルドおじさん、私、頑張るよ!

 

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