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変わり種銃シリーズ3・ペッパーボックスピストル

 1月26日に暗月けいさんの指摘を受け、フリンチングをファニングに修正しました。

 ご指摘ありがとうございます。


 

 ペッパーボックス、それは名前のとおりにコショウ入れです。コショウ入れはゴリゴリと動かしてコショウを粗挽きで作るラーメン屋とかでみる奴です。まあ、洋食系のお店の方がいいかな?

 とにかく、画像については検索してみるといいかも。


 ではペッパーボックスピストルとはどういうものか?日本のドラマなどでは例は少ないですが西部劇で銃身が複数存在する銃が出ています。


 日本のドラマでは時代劇に分類される三匹が斬るシリーズの発明家役、燕陣内つばくろじんないが戦闘シーンで4連式回転銃身型ペッパーボックスピストルを使っています。

  

 初期型と言われるリボルバーの概念である銃身と分離した回転式弾倉を持つ銃は1700年前半の欧州で作られた物で旧式のフリントロック機構を組み込みつつ、回転式弾倉を組み込んだが、技術的にまだまだ量産性能が低く、値段も高いが為に金持ちのステータスという側面の方が強かったです。


 同様の銃は江戸時代の日本でも確認されたが、量産性に乏しく製造過程に技術的問題が多くあったため、試作レベルで収まり、更には平穏な時代ゆえに使われることのないということで研究目的の生産だったようです。


 そして19世紀、アメリカでは1830年代から1850年代に大量に出回ったマスケット銃の銃身を連結させて作られる銃もあったが、当時は既にコルト、レミントンなどが現在のリボルバーの用に銃身1つに回転式弾倉を付けた銃を量産化に成功するも、特許や材質などの問題から主に軍用がメインとなり、非常に高価なリボルバーとして作られてしまった。

 その結果として値段的にお手軽で酒場の店主から娼婦などの女性まで、少しでも安く使える銃を欲しいという人のために単発拳銃を主に生産していた「イーサン・アレン社」は、薬室と銃身を一体化させた複数銃身にパーカッション式発火機構を備え、コルトのパテントだったダブルアクション機構を備える簡素な連射式拳銃を発明し、これが後にペッパーボックスピストルと呼ばれるようになりました。


 当時のコルトのリボルバーの3分の1程度の値段で手に入る連射拳銃として米国全土に広く行き渡り、この時期はコルト社が一度倒産した頃と重なったほどの人気で西部開拓時代はこの手の銃の方が多く出回ってました。


 出回っていた理由としてはダブルアクション機構が採用されたことでしょう。

 

 当時のリボルバーの主流はコルトシングルアクションアーミーなどのように引き金を引くだけでは弾は発射されず、弾を発射するためには撃鉄を起こしてから引き金を引く必要がありました。

 裏技というか、技術として連射が欲しい場合は引き金を引いたまま、撃鉄を左手のひらで叩きつけ、セーフティーを外している状態にして発射するファニングと言われる技法がありました。


 しかし保安官やガンマン、賞金稼ぎなどの奴らはいざ知らず、庶民としてはすぐに使えるシステムをということで、今風の引き金を引くだけでいいダブルアクション方式が人気出ました。


 とはいえ、ペッパーボックスピストルはいくつか問題点を抱えていました。

 

 トム・ソーヤの冒険の作者、マーク・トウェイン曰く、「銃身が回転するので、的に当てにくい。一発撃つと暴発して装填された弾が全部発射されてしまうことがあり危険である」という評価を残し、こういった弾が何処に暴発するか判らない安全性の低さ、命中精度の悪さを指して「アレン・ペッパーボックスを撃つときには、そばに居ないほうが良い。ただし背後に居る分には危険がない」と皮肉を言ったりしていました


 とは言え、この頃のリボルバーは基本、回転式弾倉に予め黒色火薬を詰めてフタをする方式で1700年代前半の技術を完成させただけともいえ、暴発事故自体はチェーンファイア現象と言われ、再装填している段階でこぼれた黒色火薬が爆発、連鎖して飛び火して他の薬室の弾にも引火、発射するという構造上の問題でした。

 

 その為、他のリボルバーでも弾倉に予め火薬を詰める方式のものでは同じ現象が起きてしまい。銃身を長くしてストックを付けているカービンモデルを使った場合、狙いをつけるためにライフルのように構えた結果、左手を弾倉の前に添えてしまい、チェーンファイアで吹き飛ばすという事故が多発しました。


 しかしペッパーボックスピストルだと全弾一斉射撃だけで済み、構造的に余計な物を付けていないため、銃本体へのダメージもなかったりします。


 とは言え、銃の進化は進んでいきます。


 ペッパーボックスピストルはその構造上、銃身と薬室の一体鋳造方式で作られるため、弾薬の強化は無理。また、言うなれば銃身を過剰に付けている状態のバランスの悪さと命中率の悪さは値段相応としか言えなかった。そんな中、南北戦争が起きてしまい、銃の過剰生産が始まると必然的にコルトやレミントンなどの高性能なリボルバーも安くなっていき、1850年代を最後にペッパーボックスピストルは姿を消してしまったものです。


 マスケット銃の構造を受け継ぐ銃も結局は性能に押されていく。時代の流れと言うものですね

 西部劇と言えばリボルバー二丁拳銃、という印象ですが、実はそれには理由があり、こんな風に再装填に時間がかかる、だったら別の銃を持つべきだと言う考えが出ました。

 

 そんな状況のアメリカの銃社会の象徴の1つです。高性能な物を大量に作り出す。


 戦時量産型とは言え、駆逐艦を一週間で作り切るチート国家みたいな工業力と経済力。それこそアメリカの概念そのものでしょう。


 とは言え、その量産能力は安物にも生かされます。ペッパーボックスはその一部です。

 現在でも銃器メーカーは二極化しています。


 コルトやスミス・アンド・ウエッソンのような有名メーカーの製品もあれば、あまり知られていないメーカーの銃もあります。


 無名のメーカーの銃は総称してサタデーナイトスペシャルと呼ばれ、土曜の夜に盛り場で遊ぶときの護身用に持ち歩く銃のこととなっています。

 無名のメーカーの奴は命中精度や威力が低い代わりに安い物で1万円程度の玩具みたいな感覚で持てます。

 が、警官に見つかれば没収されます、


 どうせ没収されるならと安物でいいという心理ですね。

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