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変わり種銃シリーズその1・ラッパ銃

 ここからは少し変わった銃を紹介してみます。

 紹介する銃の条件は黒色火薬を使った銃、そしてマスケットの進化系、またはその流れを組む銃となります。

 

 ラッパ銃はその名の通り、銃身がラッパの用に広がっている構造の銃です。

 その起源を遡るとマスケット銃ができた頃には既に片手撃ちの拳銃として使われていました。


 どういう職種の人に使われたのかというと、海賊及び船上での戦闘を担当する海兵、騎兵が使用することの多い銃でした。


 海という条件は構造上、軽量な服でないと落ちた時に海で溺れて死んでしまうということがありますし、潮風、塩水が金属装甲が自慢の甲冑を痛めるということもあり、重装甲な兵士はまずいない。というのが常識でした。


 機動力のある騎兵からすれば近接射撃でもいいので銃が使えるという状況は美味しいものであり、攻撃手段の1つの候補となりました 


 そんな中で一発当てれば確実に相手を負傷させられるマスケット銃は人気になりましたが、今度は別の問題が生まれたのでした。

 装填する際、火薬と弾を込めるのに揺れる船の上、馬上ではマトモにできない。ということです。


 時間をかければできますが、それだと素直にカトラス、シミターなどの刀剣類で斬り合ったほうが早いとなり、改良を求められました。それが銃身の構造をラッパのように銃口を大きくしてみるというラッパ銃でした。


 漏斗のように上から降り注げば再装填ができるということで銃口の拡大による命中率の低下は気にせず、むしろ速射性、再装填のしやすさを重視した設計となりました。


 ところがそれに目をつけたのがもう一つの概念、一発で大量の弾をプッ放せないかというものでした。

 

 どうせたくさん火薬を詰めること出来るなら弾も詰めやすくすればいい、そして従来の弾なんぞよりも船の修理に使える釘なんかの金属片で十分殺傷性があるとわかると、弾をたくさん入れて火薬を爆発させて一気に吹き飛ばずという残忍な攻撃が可能となりました。


 散弾、しかも銃口の構造がラッパの用に広がっていることから広域に拡散される弾は高い命中率を誇る上、弾もそこらへんの釘とかでいいといういい加減なことでも問題ないのが評価され、以降、フリントロック式などでも連発できる銃が生まれるまでは海兵の皆さんの愛用品となったのです。


 実際のところ、釘を散弾として打ち出せるのかというと、不可能ではありません。マスケット銃は基本、可動部分は銃身横にある着火装置と連動した引き金だけで銃身が頑丈にできていれば火薬の大量投入や弾丸の複数装填も不可能ではないのです。


 事実、マスケット銃と同じように進化していった大砲は昔はぶどう弾と呼ばれ、現在では戦車砲用に対歩兵用散弾、キャニスター弾として使われていることから射程は短い代わりに範囲を広く攻撃出来るというものでした。


 その概念は進んでいき、狩猟用のマスケット銃へ変わっていき、弾も釘とかの雑な物ではなく、それ用の専用弾を使うようになりました。

 

 とはいえ、銃身が延長され、命中率重視となると、ラッパ銃は古式の玩具へとなってしまいました。

 

 ただ、どうしても海賊、海兵は船上での装填、広域散布を狙って使う例は残されています。

 海賊は積荷を奪ってナンボの商売。下手すれば縛り首は必須という物ですが、航路を抑えることが出来ればヤクザのみかじめ料のように積み荷や通貨を上納することで安全な航路となる可能性になる場合もあるそうです。

 

 はっきり言って見かけた船をすべて襲って奪うのは航路の通過が難しいと見なされて、誰も通らなくなる。

 だから見せしめは派手に、従うなら穏便に。というのが自由海賊、パイレーツです。


 コレに対してコルセアとは私掠船のことで、いわゆる傭兵船と思ってくれればいいです。

 敵対国の船に対する海賊行為を許可する代わりに分前を国に一部上納させて、更には自国の商船艦隊への海賊行為禁止と航路の安全を図るというのが中世に作られた海軍の初期の姿です。


 映画などではパイレーツ、コルセア、双方の船長は先込め式の小型ピストルを持っていたりしますが、あれはどちらかというと叛意を見せた船員を処理するために使う見せしめ用、督戦用の武装という意味合いの方が大きいです

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