ヘッケラー&コッホ G11
コレで最後となるでしょう。
第二次世界大戦から銃の自動化が進み、旧式のボルトアクションライフルが主力となるような戦場は狙撃しかないとも言える状況になりました。
特にベトナム戦争ではジャングルで見えない敵に怯える、怯えから確実に敵を仕留める為にフルオートにした方がいいという徴兵された新兵の心理などから総合的に見て1人の兵士を倒すために1万発は弾を使ったのではないかと言う説が出るほどの過酷な戦場でした。
そんな中、1つの概念をドイツが生み出しました。1970年代の冷戦期に次なる戦いではもっと弾を使うだろうから弾をもっと多く持てないかと言うことで原点回帰という意味でも、金属薬莢を廃止して火薬で固めたケースに弾薬を作れないか?ということで生み出されたのがドイツ、ヘッケラー&コッホ社のG11です。Gはドイツ語での小銃を意味するゲーベルの頭文字です。
1970年代に西ドイツがG3ライフルに変わる新型を求めたのですが、他の国との可能な限り、協力し合える用に共通弾薬が欲しいということで試作レベルの生産だけはしましたが、互換性はない、運用性がない、しかもトラブルばかりということでケースレスライフルと言うものは不良品というイメージが出来てしまい、結局ドイツ統一の際にドイツ連邦軍からキャンセル。結果として口径を変更させた上、G3から様々な改良を加えたG36が採用されました。
G11は基本的にドライゼが民間向けに発表していた紙薬莢を使ったレバー式射的銃をサンプルに弾倉を銃身の上部に装備することで弾薬を上から下へと送り込む、レバーを回して銃身の方に薬室を動かす、という方法だったのですが、3点バースト射撃ではあまりにも早すぎる発射システムのせいで目標の兵士が倒れる前に撃ち込めるという方式でした。
が、最大の問題はケースレスという特殊な特徴でした。銃を発射することは当然火薬が燃焼します。燃焼するという事は銃身や機関部が熱を帯びるわけで、その熱がむき出しの火薬を炙り、それが原因でコントロール不能の暴発、コックオフによる連射が起きてしまい、確実な作動と安全性を優先する軍用銃どころか、民間用の銃としても使えないとなりました。
ちなみに弾薬にもコレクターと言うものが存在しており、試作の性能評価レベルの少数生産というものでしたので軍への納品時でも1マガジン50発分の弾で5万円という価格。コレクターは更にレアリティ、希少価値をかけて取引する貴重品となっています。
ちなみにG11のデザイン性は近未来的なデザインで未来の軍隊が持っていても不思議ではないというデザインでしたので、映画デモリッションマンではバッテリー充電式のマグネティック・アクセルレーターガン、エヴァンゲリオンの旧劇場版では戦略自衛隊がNERV本部襲撃作戦の際に使用していたりします。
薬莢を吐き出す排莢シーンがなくとも撃てるということでアニメなどでは薬莢の飛び出す、地面に落ちて跳ね回るなどのアクションを書かなくとも音響による銃声に合わせて発射光を銃身から出すだけで銃撃シーンとなるので近未来的なデザインも相まって採用されたのでしょう。
デザイン的に格好いい、そして構えやすそうな銃なのですが、多分、サバイバルゲーム用のカスタムパーツ(エアガン市場では外見のパーツに別の銃のパーツを組み込んでサバイバルゲームで使うことが出いるようにするデザインパーツは結構出回ってます)で出されるかもしれません。
というかニコニコ動画では自作している人すらいます。技術力ある人はスゲーと思わせてくれますよ