表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/15

8・・カナの正体

双子の弟君は親切だった。

洋子の居ない寂しさを紛らわせてくれた。

彼が居なければ学校に通っていられなかったはずである。

すっかり変わってしまった洋子たちは思い出したようにしか登校してこない。

出てくると決まって私に突っかかり嫌がらせをする。

「私が悪い?私が何かした?」聞いてみたかったが

黙って耐えた。

それがまた彼女たちを苛付かせたようだった。

決まったレールから外れていく彼女たちを馬鹿にしていたわけでは無いが

彼女たちには そう見えるようで

彼女たちと行動をともに出来ない私に腹を立てていた。

私はやはりいい子ちゃんでしかないのだ。

彼女たちと仲を取り戻すことは出来ない。

初めからその努力を諦めていた。

そんなある日洋子が話しかけてきた。

「あやはカナだけ居ればいいの?」

私が黙っていると

「いつまでカナ!カナ!って言ってるつもりなの?」

と続けて聞いた。

そして言った。

「カナが どんな奴だか知ってるの?」

「え?」

私が洋子の顔を覗き込んで聞いたが洋子は何も言わず行ってしまった。

「え?カナがなんかしたの?」

そう繰り返して気が付いた。

カナって何組だっけ?

そういえば部室に現れるだけで クラスのことは知らない。

カナの苗字も知らない。

学年も知らない。

彼女のことを何も知らないことに驚いてしまった。


カナは何処?

最近 カナの顔を見てなかった。

急いで部室に顔を出したがカナは居なかった。

双子の弟君に洋子に言われたことを言ってみた。

弟君はその話を黙って聞いたまま何かを考えているようだった。

「弟君もカナのクラス知らないの?」

私が聞いたが彼は黙ったままだった。

そして

「カナは居ないんだよ!」

寂しそうな目で私を覗き込みながら そう呟いた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ