7・・融けたアイス
粉々に散ったガラスの破片がアスファルトの上で
星のようにキラキラしてた。
「カナ・・危ないよ。」
私はカナに声をかけた。
カナは何事も無かったように歩き出していた。
私は散らばったガラスを気にしながらもその場を後にした。
「誰も怪我しなきゃいいな」
そう考えた。
カナは家の前を通り過ぎた。
このまま歩き続けると道が無くなり行き止まりである。
そこには忘れられ誰も利用しなくなった公園がある。
街灯が一つ 青白く公園を照らしていた。
風でブランコが揺れていた。
「ブランコに乗ろう」と言いながら
カナは公園に入ってブランコに座った。
「ほれ!あやのアイス」と私にアイスを押し付け
自分はさっさと食べ始めた。
私の頭の中は
「洋子に会いたいの?」と聞かれた
さっきのカナの態度のことでいっぱいだった。
カナは何も言わずアイスを食べ続けた。
「あや・・食べないの?融けちゃうよ!」
カナに言われアイスが溶け始めてることに気がついた。
アイスを食べる気分はとうに無くしていた。
「流れ星 あれから流れないね〜!?」
カナは何事も無かったような顔して言った。
私は多分怯えた顔でカナを見つめているはずだ。
アイスを食べ終えたカナはブランコをこぎだした。
「あや!押して!!」とねだった。
私は力の限りカナの背中を押した。
そのまま遠くまで飛んでいってくれたらいいな。。
フッと そう思いながら押した。
青白い光の中でカナの笑い声がよく響いた。
カナのことを<怖い>そう感じながら
背中を言われるままに押す事しか出来なかった。
満足したのか
「もういいよ 帰ろう」
カナが言い出し私たちは公園を出た。
家に帰ると消したはずのTVがついていた。
「あやの仕事は いつもこうだね」
とカナは笑いながらTVを消して私の方を向き
「いつも詰めが甘いんだから」と言った。
そして
「そんなあやが好きだよ!憎めないんだ・・」
カナが呟いたような気がした。