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6・・冷ややかな視線

カナの蹴る小石の音を聞きながら

私はカナと過ごした日々を思い出していた。

カナを殺したあの日から私が封印してきた記憶だ。

私はカナと関わりあった記憶を忘れるように努めていたのだ。

洋子は あれからどうしたのか!?

私は知らない。

知ろうとはしなかった。

いや・・知りたくなかったのだ。



「あや・・聞いてたの!?」

カナは微笑みながら聞いた。

「私は何時もあやの幸せを願ってるんだよ!解ってるの?」

カナは再度念を押すように言った。

「え?」

私はなんと返事をしたらいいのか解らなかった。

「あ!流れ星!!」

私は流れるほうを指差した。

カナも指差すほうを見た。

「カナの幸せを祈ったよ!」

返事の代わりに私も幸せを祈った。

カナの顔は満足げだった。


「どのアイス買う?」

私はカナと同じチョコ味のアイスにした。

「私と同じものにする癖は そのままだね」

カナが言った。

そう・・私は何時もカナと同じ物を選ぶ。

なぜなら それをカナが喜ぶからだ。

カナは私が自分を出すのを嫌っているように感じていた。

私はカナの冷ややかな視線が怖い。

出来るだけ その視線を受けないように努力していたのだ。


「瓶のジュースだ!」

カナは急に瓶のジュースを指差した。

わざとなのか?

私が洋子のことを思い出しているのを感じたのか?

洋子の顔色を窺った。

「私の顔に何か書いてあるの?」

逆にカナは私の顔を覗き込み意地悪そうな顔で笑った。


結局私たちはアイスと瓶のジュースを買った。

「急いで帰ろう!映画の続きを見なきゃ」

カナが小走りに走り出した。

私も仕方なくカナに続いて駆け出した。

「あや!急がないとアイスが溶けちゃうよ」

カナは振り向いて言った。

私は走るのが嫌いだ。

途中から歩き出した。

歩き出した私に気がついたカナは立ち止まり。

「・・・・・・・・・」

何かしゃべりだした。

離れていたので私には よく聞こえない。

「カナ どうしたの?」

私はカナとの距離を縮めながら再度聞いた。

「私 こんなもの要らない」

カナは そう言ってた。

「何を要らないの?」私は聞いた。

カナは たった今買ってきた荷物の袋の中から

瓶のジュースを取り出した。

そして 宙に放り投げた。

ジュースは流れ星のように空を流れ

アスファルトの上で粉々になった。

私はカナの行動をただ見つめていた。

何も言えなかった。

カナの顔から笑顔は消えていた。

私の嫌いな冷ややかな視線をこちらに向けていた。

黙って見つめる私に向かって

「あやは洋子に会いたいの?」

と聞いた。
















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