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5・・不調和音

双子事件が私と洋子の間を微妙なものにした。

双子弟と同席するのを洋子は避けた。

解る気もするが洋子と一緒に居る時間が極端に減ってしまった。

その間に洋子は めぐみたちと親密になっていった。

私の家は外泊禁止だったため。

みんながお泊りの時は夜自宅に戻り朝早く遊びに行く。

と言うのが私の決まりごとだった。

お泊りはめぐみの家が定番だった。

その日も 何時ものように朝早くめぐみの家に行った。

だが・・この日はなんだか違和感を覚えた。

明らかに昨晩 何かがあったようだった。

それを彼女たちは隠している。

お互いにそのことには触れないような空気を

感じながら過ごした。


カナはそれを喜んでいるように思えた。

元々洋子たちをよく思っていなかったから

満足して居るような気さえした。


洋子とカナと私は美術部なのだ。

あまり活動の活発でないクラブなので

私たちは部室を溜まり場にしていた。

顧問の先生もうるさくない人だったので

めぐみたちも集まって毎日遅くまでそこで過ごした。

カナはそれを良く思っていなかった。

部外者が我が物顔で出入りしているのを好ましくないと

感じているのが私には解っていた。


あのお泊りの日以来

洋子が部室に顔を出さない事が増えた。

出してもすぐ帰ってしまうようになった。

私も双子弟との付き合いもあり

洋子のことを気にしながらも月日が経ってしまった。


「私 クラブ辞める」洋子が突然言い出した。

軽音楽部に入ることに決めたと言う。

めぐみたちとバンドを組むことにしたそうである。

勿論 洋子には楽器の経験は無い。

浩美にも無かった。

めぐみだけがピアノを小さいときから習っている。

そんな3人がバンドを組むことにした。


「どうして急に〜!?」私は聞いた。

「・・・・・・」洋子は黙っている。

「何か あるんでしょう?」私は続けた。

「ごめんね・・」洋子はそれしか言わない。

私は洋子を部室に残しまま部屋を出た。

部室の外にはめぐみと浩美が居た。

私は声も掛けずに通り過ぎた。

勿論 向こうも声を掛けてこなかった。

あまりにも突然で裏切られたような気持ちだった。

その時 洋子の気持ちを考える余裕は無かった。


「私・・洋子と喧嘩しちゃった。」みたい。

カナに話した。

カナは微笑み返しただけだった。


あのお泊りの日の秘密は意外なところから耳に入った。

双子の弟君が知っていたのだ。

弟君は兄から聞いたと言っていた。

洋子たちはあの日 

夜遊びに出て知り合った子たちと遊び歩いていると言う。

その子たちがバンドをやっているので感化されたらしい。

しかも そのグループの中に洋子の好きな人が居たのだ。

弟君の話では性質の悪い奴らだという。

「洋子に会わなきゃ」

弟君と一緒に洋子たちを探した。

見つけた洋子たちは別人のようでタバコを吹かしたまま

「なんか用〜!?」と聞いてきた。

「洋子 帰ろう!」って私は声をかけた。

「どうして あやと帰らなきゃいけないの!?」

洋子は言った。

「どうせ あやは バンドなんて出来ない!って思ってるんでしょう?」

確かに そう思ってたが・・

「絶対 バンドを組むんだ!!」

洋子は意地になっているようだった。

「邪魔だから帰ってくれない?」

そう言ったのはめぐみだった。

「良い子ちゃんには理解できないよね?」

と言ったのは浩美。

知らないうちに私は良い子ちゃん扱いになっていた。

別に何かを言ったわけでも したわけでもないのに

私たちの関係は あっという間に壊れていた。

特別な理由が無いので修復は難しく感じた。

その日を境に彼女たちは学校も休みがちになっていった。

登校するたびに何かが変わっていた。

スカートが長くなり

髪の毛の色が変わり

かばんの幅が狭く

言葉使いも変わり

顔つきまで変わっていった。

私一人が取り残されてしまった。
















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