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4・・不幸の始まり

朝 私が登校しても洋子は まだ居なかった。

一台先のバスに乗ったはずなのに登校していなかった。

「洋子は まだなの?」

私はめぐみに聞いてみた。

めぐみも浩美も まだ洋子を見てないと言う。

1時間目が終っても洋子は現れなかった。


洋子が登校してきたのは3時間目が終ってからだった。

登校してきた洋子の顔は暗かった。

何時もの陽気な洋子とは違う。

「どうしたの?何かあった?」聞いてみた。

洋子は何も答えようとしない。


廊下がやたらと騒がしかった。

洋子は原因が解っているらしく机に顔を埋めてしまった。

私たちは洋子を置いて廊下に出てみた。

今朝 洋子と会うはずだった彼が坊主頭になっていた。

それを囃し立てる人たちで廊下が騒がしかったのだった。


カナの予想は外れ

洋子に告白した彼は振られたら坊主頭にすると

友達に宣言していたらしい。

それを止める為に洋子は彼を説得していて

遅刻したってことだった。

洋子の説得も空しく彼の決心は固く坊主になってしまった。

学校中 この話が伝わり

面白がって振った洋子の顔を見に来る人で教室の前はごった返していた。

洋子は非情の女と言うレッテルを貼られてしまった。

この事件で有名になってしまった洋子は

自分の好きな人に告白も出来なくなった。

しばらく静かにしているしかない。

坊主の頭が伸びるまで この騒ぎは続き消えていった。


そんなある日

私たちが廊下を歩いていると視線を感じる気がした。

「洋子!何かやったの?」

私たちは洋子の顔を覗く。

「身に覚えは無いよ〜」洋子は泣き顔である。

あの坊主事件には さすがの洋子も参っていたのだ。

教室を覗きに来るものまで現れた。

絶対に何かある!

私たちは確信した。

だが・・誰にも身に覚えはなかった。


理由を知るのに三日とかからなかった。

坊主頭の彼は双子の兄だった。

その片割れが私のことが好きなんだそうである。

私たちの知らないところで弟の頭がどうなるか

賭けをしているらしいのだ。

困ったものだ。

勿論私にも好きな人は別に居る。


この話を聞いてカナは大笑いだった。

「告白されたら どうするの?」

お腹を抱えながら聞く。

「そのときにならないと解らないよ!」

カナに八つ当たりをして怒鳴ってしまった。

そんな私を見てカナはさらに笑う。

それにしても頭が痛い問題だ。


洋子は「付き合うことにしたら?」と私に言う。

よほど堪えているらしい。

どちらにしても まだその段階では無い。

弟が現れてからだ。

そんな日が一生来ないかもしれない。

来ないことを私は願った。


だが・・

そんな日が来てしまった。

兄の坊主頭が目に焼きついてしまっていたので

私は彼の申し出を受けてしまった。

断る勇気を出せなかったのである。


その結果でも学校中が沸いた。

兄の面子は丸つぶれ

洋子の人気は地に落ちて

私たちカップルは注目の的になってしまった。


初デートの日。

駅までの道のあちらこちらに知った顔が居た。

歩くコースは初めから決まっていたらしい。

まるで見世物のようなデートがスタートした。








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