2・・カナの願い
思い切って私は聞いて見ることにした。
「カナ・・」
でも続く言葉を飲み込んでしまった。
やっぱり聞けない。
「あの時 カナは死んだよね?」
そんなことを聞けるわけが無いのだ。
代わりに出た言葉は
「カナ・・ビデオでも見る?」
そんなことしか言えなかった。
そう・・
あの頃の私もカナには何も言えなかった。
いつもカナの後ろに隠れて居たようなものだった。
それが心地よかったし 間違いが無いと思っていた。
「何を見る気なの?」カナが聞いてきた。
「でも〜ビデオって言いながらDVDだよね」
カナが続けた。
確かにDVDなのにビデオって呼んでしまう。
もう年だからなぁ〜
新しいことには付いていかれない
そう思うとなんだか寂しく感じ あの頃が懐かしくなってきた。
とりあえず 最新作をレコーダーに入れた。
SAW4・・
いきなり司法解剖シーンで頭の皮を剥ぎ頭蓋骨を切断し脳みそを取り出し始めた。
私たちは この手の映画が好きである。
意外と平気な顔で見ていられるし食事を取ることが出来る。
ただグロテスクなシーンだけが続くものと違い
SAWシリーズは内容がある!というか
毎回 意外な展開に進んでいくのが楽しみな作品なのだ。
いつものことだけど究極の選択だ。
私には選べないな 悩んでいるうちにタイムアップだ。
そう考えているときに
「あやなら どちらも選べなくて敗者だね!」
カナが私に向かって言い出し
「私は選べるよ!絶対 生き残る。勝者になれるよ。」
と続け・・
「自分の命は自分で守る。」
と言った。
「・・・・・・」
カナは私を責めるつもりなのだろうか?
ただ固まる私を見ながらカナが
「ねぇ〜アイスでも買いに行かない?」
外に出る事を提案した。
私はレコーダーを消しカナに続いて外に出た。
外はきれいな星が輝いていた。
「あ!流れ星!!」
カナが見つけ
「願い事した?」と聞いてきた。
「とっさだったので出来なかったよ!」と答えると
「あやは いつもドンくさいね!」と笑い
「私は ちゃんと願い事をしたよ!」と言った。
「何をお願いしたの!?」と聞いてみた。
「内緒!」とカナが答えた。
予想通りの返事が返って来た。
コンビにまでの道は いつもと同じ道なのに
いつもより長く感じられた。
私たちは何も話さず ただコンビに向かって歩いた。
カナが時々蹴飛ばす小石が転がる音だけが響いていた。
突然
「内緒だけど教えてあげる!」
と言いながらカナが振り向いた。
そしてさっきの流れ星にしたお願いは
「あやの幸せを願ったの。それしかないでしょ!」
と言った。