14・・カナと共に。
目が覚めた私は 無くなった真っ赤なワンピースのことなど気づきもせず
起き上がるとボ〜〜っとした頭を抱えて歩き出した。
台所へ行き包丁を手にした。
手にした包丁を喉元にあててみた。
とても引けそうには無かった。
続いて手首に当ててみた。
今度はそっと引いてみた。
わずかに血が滲んだだけだった。
これが世に言う躊躇い傷なのかな?
ふと そう感じた時 我に返った。
「何をやっているんだろう・・!?そんなことじゃ死ねないのに。」
自分で自分を切りつけるなんて出来るわけがないよ。
出来るぐらいなら もうこの世に存在していなかったはずなのだ。
この30年は長かった。
私はこの間の苦しみはカナを殺した罰だと思ってた。
そう考えたから生きていられたのかもしれない。
カナのことは忘れたといっても
私の何処か奥の方では覚えていたはずである。
忘れることが出来るわけが無いのである。
だから幸せになってはいけない。
そう無意識に人生を歩んでいたのかもしれない。
そんな風にも思えてきた。
カナは私であったのだから私は半分になってしまったのである。
一つにならなければ。。。。
それには私がカナの元へ行かなければ行けないのだ。
カナも方から迎えに来てくれたのに一緒に行くことが出来なかった。
今からでも遅くないはずである。
カナが待っていてくれるはず
そう考えると自らの命を絶つことが幸せへの道であるような気さえしてくるのである。
私はドアノブにタオルをかけ首を入れた。