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13・・あれから30年

クローゼットに秘密を押し込めたまま何年たったのだろう?

クローゼットは何回も変わったが 箱だけはそのまま連れて歩いた。

いや・・連れ歩いた記憶なんて無い。

ある日気が付くといつもそこにそれがあった。

そこにあるのが当たり前のような顔をして座っていた。


ほぼ30年ぶりにカナが現れたとき

実は死ぬことだけを考えていた。

もう全てが嫌になっていた。

カナに「死ね」と言われて生きてきた。

私は彼女に生かされていたのだった。

カナが再び消えて忘れていた現実が甦ってきた。

自ら命を経つ日まで決めて準備していたではないか。

この世に未練は無かったはずである。

そうだ・・・弟君に一目会いたかったな。

そんな感情が湧いた。

彼は私のことを知りすぎていたから一緒に居ることを

私が拒んでしまった。

私は怖かったのだ。

再びカナが現れることが

再びカナを思い出すことが

彼とはあれ以上一緒に居ることは出来なかった。

彼の手を離し私のことを知らない人の中で生活を始めた。

そして30年

今の私は もう進めない。

箱から出された真っ赤なワンピースが風に揺れ

私を笑っているようにも見えた。

これはカナを殺した罰なのだろうか〜!?

私はそのとき「世の中で一番不幸なのは自分だ。」

そう思い込んでいた。

涙が流れた。

頬を伝う涙は次から次と溢れいつまでも止まることが無かった。

気が付くとまた夜になっていた。

私は 泣きつかれて眠っていたようだった。

時間だけが私の知らないうちに過ぎていた。

握っていたはずの真っ赤なワンピースが箱に収められ

クローゼットの中で正座していることに

そのときは気づいていなかった。


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