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10・・真っ赤なワンピース

「え・・?」

弟君の質問が理解できなかった。

同窓会って どういうこと?

「同窓会 楽しめたの?」弟君が再度聞いた。

「一緒に行けないって言ってたから欠席にしたよ!」

私は答えた。

そう答えると弟君の顔は曇り

「あや・・・・」

名前を呼んだきり黙りこくってしまった。

長い沈黙の時間が流れ

そして弟君が話し出した。


「あやは同窓会に出席してたんだよ!」

「そんなバカな〜私は欠席よ!」

私が欠席だと言い張ると弟君が話し出した。

私が真っ赤なワンピースを着て出席してたって兄から聞いたそうである。

「真っ赤な服?そんなもの着るわけ無いじゃないの!」

そんな派手な服を着たことは無いというか・・持ってない。

恥ずかしくて着て歩けるわけが無い。

真っ赤なワンピースを着た私は陽気に振舞い場の中心に居たそうである。

そんな馬鹿な。

お兄さんが見間違えたに決まっている。

それにしても誰と間違ったのだろう〜

迷惑な間違いである。

だが弟君は繰り返した。

「間違いなくあやは出席してたんだよ!」

そう言うと私の手を取り外へ連れ出した。

弟君は黙ったまま私の手を引き歩きだした。

重い空気のまま私は黙って着いて行った。

彼は友達から車を借り走らせた。

向かう先は私には解らない。

弟君の表情はいつもと違いそのことが更に空気を重くし

私はその空気に今にも潰されてしまいそうだった。


「あや・・君に黙っていたことがあるんだ。」

重い空気の中 運転中の彼が話し出した。

「あや・・黙って最後まで聞いて欲しい。」

彼は そう言うと首を振り

「いや・・話は後だ。」

そう一言呟き またもや黙り込んでしまった。

こんな真剣な顔の彼を見たのは初めてだった。

声もかけられず私は黙ったまま外の景色を眺めた。

時間の流れも止まったようで窓の外の景色は一向に変わらない。

ただ 一コマ一コマ流れる景色は懐かしい町

私たちの実家がある町に向かっていることだけは確かだった。

車は弟君の実家の前に止まり即されるまま彼の家に上がった私を

出迎えてくれたのは彼の兄だった。

私たちは兄の入れてくれたコーヒーを飲んだ。

だがコーヒーを飲むために車を走らせてやってきたわけではない。

「話があるんだよね・・」

私のほうから沈黙を破ってみた。

兄弟は顔を見合わせると兄の方が席を立ち

一枚の写真を持ってきた。

そしてその写真をよく見るようにと言いながら私に渡した。

その写真を覗きこんだ私は安堵して

「カナじゃないの!」と叫んだ。

久々にカナの元気そうな顔を見て嬉しかった。

喜ぶ私を尻目に彼らは再び顔を見合わせ

「よく見て!」弟君の方が私に注意した。

その写真は楽しそうに笑うカナが写っていた。

一体 この写真の何処をよく見れというのか?

私には理解できない。

赤いワンピースを着たカナが同級生と写っているだけだった。

特に変わったことも無い写真に私は思えた。

「何なのよ!」

私は二人に聞いた。

「赤いワンピースのカナがなんだっていうの!?」

そう二人に言いかけて気になった。

真っ赤なワンピース・・・!?








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