宝がなくなった宝箱
超久々の投稿
しかも、読み返すと何が書きたかったのかまったくわからない。
俺は冒険者、ダンジョンなんていう迷宮に入り、探索と魔物討伐を仕事している。
魔物とは迷宮内でしか生息しない化け物だ。二足歩行する狼や大きな棍棒を持った化け物たちのような化け物を指す。最大の特徴は討伐すると死体が消滅し、魔石と呼ばれる物が残る。この魔石は、魔力の結晶で日常的に使われているがそんな話は別にいいだろう。
ようするに、ダンジョンに行って、魔物を倒し、魔石を取り、それを売って生活をしているのが冒険者である。
俺の実力は中の下といまいちなところである。
数人のチームを作り、ダンジョンの奥を突き進むプロたちと違い、俺のような半端物は一人である程度の深さまで行って、食う分に困らないくらいの魔物を倒し、安全に町に戻る。これを毎日している。
危険がつきまとうが地道に働いているより稼げる職業である。
そんな生活を続けていると、ダンジョンで珍しい物を見つけた。
宝箱である。
ダンジョン内には、なぜか宝箱があり中には珍しい武具や金銀財宝が眠っている事がある。
ただ、冒険者は星の数ほどいて、中身の入っている宝箱に遭遇できる物はほんの一握りである。
近くの魔物を討伐し、宝箱へ急ぐ。宝箱の目の前で落ち着き、辺りを見渡す。
宝箱は貴重すぎて、あけているところを別の冒険者に見られると最悪襲われる可能性もある。
魔物も冒険者の姿をないことを確認して俺は宝箱を開ける…。
宝箱は簡単に開き、その中身を晒した…。
そう、箱に囲まれた空洞を晒した。
中身の現実に呆然とたたずむ。
本来、宝箱は中身を取った者が宝箱を開けて置くのが冒険者の暗黙のルールである。これを破る奴らは、空の宝箱を開ける冒険者を楽しみにしている性質の悪い奴らである。
空とも知らず楽しみにあけた俺はそういう奴らの笑いのネタにされたわけである。
非常に不愉快な話だ…。
気分の悪くなった俺は、この宝箱をどうするか考えた。
大抵の人は大人数でダンジョンに潜るが、俺は一人で潜っている。宝箱をどうしようが咎める者はいない。
考えた末、俺は宝箱に手紙を入れて宝箱を閉じることにした。
『残念ながら、宝箱と手紙に価値はない。君は空の箱を開けた被害者2号だ。
被害者1号より』
危険なダンジョンの中で俺は何をしてるんだろう。そんな事を思いながら宝箱に手紙を入れて閉じた。
あれから5日間。
いつも通りにダンジョンで稼ぐ日々が続いている。
獲物となる魔物を探していると、あの宝箱の周辺まで来た。
この5日間宝箱の存在なんて、すっかり忘れていたがどうなっているのかを確認しに足を向ける。
あの手紙を入れた宝箱はまだ、閉じたままだった。
閉じたままの宝箱を空けてみた。中身はどうせ紙がひとつ…。
「え」
その中に入ってた紙は1つでなかった。
『期待してあけたのに空かよ 2号』
『宝箱を開けたとき何も入ってないと残念感すごいですよね 3号』
『お前ら、こんなことしてたら魔物に不意打ち食らうぞ 4号』
『これを見た奴、この辺の魔物の弱点教えてくれ、亀みたいな奴は火に弱いのか? 5号』
『そんなことも知らないとかお前、死ぬぞ。亀みたいに見えるが水が苦手だ。水魔法でもやってみろ 熟練者6号』
『まじだ、簡単に死んだ。6号ありがとう 5号』
こんなことを書いた手紙が入っていた。
なんとなく入れた一枚が人と人を繋げていった。
そんなことがうれしくなり、また一枚手紙を入れた。
『宝箱の存在とか忘れて5日後だが、こんなにも見てる奴いると思わなかった。これから近く通ったら見るようにするわ。 1号』
たった一枚の紙が入ったことによって、空の宝箱は冒険者たちのメッセージ箱になり、ダンジョン内の宝箱には情報という宝物が入っているといわれるようになった。
最初はダンジョンの宝箱に手紙を入れて出会いが始まる物語を考えていたのがどうしてこうなったのか…。
これを見て何か思うことがあれば幸いです。