魔術の三大要素③「詠唱」
詠唱とは、魔術を発動する際に使用する、発話、筆記を含む言語回路のことである。
基本的に、声に出して用いる「有声詠唱」のことを指す。
また、詠唱に用いる意味のある言葉の連なりを、「詠唱文」または「呪文」と呼ぶ。ちなみに、後者は呪術における詠唱文のことを限定的に指すこともある。
詠唱には三種類存在する。「|有声詠唱《VoicedChant》」「|脳内詠唱《SilentSpell》」「|記述式詠唱《DescriptiveSpell》」である。
「有声詠唱」は詠唱の持つイメージ通り、意味のある言語を声に出して回路として扱うものである。声の大きさは自分に聞こえる程度であれば問題はないが、対象が存在する魔術の場合、対象が聞こえるかどうかで魔術そのものに影響があることがある(詳しくは次項、「認識と被認識」にて)。また有声詠唱では、言い間違えのないようにしなければならない。言い間違えは術の発動に影響が及ぶのである。
「脳内詠唱」は詠唱文を口には出さず、脳内で思い浮かべることで作用させる詠唱である。思考を整理しさえすれば、場合によっては有声詠唱より素早い詠唱が可能となる。
「記述式詠唱」は詠唱文を口には出さず、紙などに文字を用いて書き記すことで作用させる詠唱である。魔術陣にも用いられる。予め書いておくことで、後から使用することも出来る。使用の際は設定しておいた起動のプロセスを踏むことで発動が出来る。
詠唱にはそれぞれの国の様々な言語が用いられる。英語、日本語、中国語、エトセトラ……。また、既に死語であるラテン語や、人造言語であるエスペラントなども魔術師たちに好まれて使われている。同じ詠唱文でも違う言語を用いると、わずかに威力の差が生じる。そのため、術によって言語を切り替える魔術師も少なからず存在する。
詠唱用に造られた言語として「|詠唱英語《MagicalEnglish》」というものも存在する。詠唱英語は、普通の英語をより対象などがわかりやすいように変化させたもので、一部語形変化などが消失し、代わりに前置詞が多用される。基本的にはほぼ英語と同じものである。




