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-始原の書- 【うちの魔術設定】  作者: マナ'
魔術[単体カテゴリ]
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結界術

 一般に結界と呼ばれる。

 日本語名である「結界」の語源は東洋における仏教用語の「結界」となっている。本来の意味は修行や修法のために一定区域を限ることであるが、西洋の魔術における「Barrier」に近いものと混同されるようになり、近現代魔術においては、元の意味に倣い、一定の区域を区切り効果を発揮するフィールドマジックや属性強化魔術のことを言ったり、原義からは外れるが、術者などの身を守る術で、特に拒絶型のものの総称としても用いる。後者のほうが現代ではより一般的である。

 一般に詠唱と描陣により発動する古式術式を用いるが、タリスマンや護符などの魔具を使う際にはそれらを必要としないことも多い。また置換回路もその特性上しばしば用いられ、その場合、レイライン方式に代表される大規模地形活用型であることもある。

 現在、結界は様々な魔術について応用されいるが、得意とするのは「インド魔術」「陰陽道」「神道」などである。キリスト教圏の魔術の結界の例として、中世ヨーロッパの「ドラゴン退治」のレイラインが挙げられる。これは一直線上に並べられた境界の配置による|大規模地形活用型置換回路フィールドマジックである。

 結界にのみ用いられる特殊な概念として「連続性」と「結界密度」、「接続深度」「対外影響」がある。「連続性」は、術式が連続して発動するか否かを表す。連続性がないと条件発動方式になり、結界により指定した範囲内で設定した条件を満たした場合のみ半自動で発動する。「結界密度」とは、魔力の濃度と、現実世界――とくに世界存在体に与える影響の度合いのことである。「接続深度」とは、結界の術式回路とパトルオロビオスへの相対的深度のことをいい、結界密度と深く関わる。結界はもともと、空間の属性決定をおこなうために、パトルオロビオスに接続し、その結果を反映する術であるため、結界密度を濃くするには接続深度を深くする必要がある。「対外影響」は、術式がその回路の範囲外に与える影響のことを指し示す。

 結界は、その術式の組み方により、西洋式と東洋式に分類されることもある。


「西洋式」

 西洋式の結界には、置換式回路と普通の回路の二種類が存在する。いずれにしても、長期持続が可能なものよりも、短期的で効力の高いものが多い。そのため、持続にはあまり向かない。


「東洋式」

 東洋式の結界は、主に置換式回路を用いる。土地を直接限ったりする大規模な術式が特徴の一つ。また、長期的な術式を組むことも可能である。


 西洋式にせよ、東洋式にせよ、長期的かつ大規模な結界術を組む場合、結界により限られる空間の魔力総量に注意する必要が出てくる。このことに関連し、ヘイローの限界という言葉がある。

 ヘイローの限界とは、1990年代に協会所属の魔術師、トーマス・ヘイローが見出した、限界空間における魔術素子の形容変動限界のことである。

 トーマス・ヘイローは結界を専門に研究する協会所属の研究員であり、古くから存在した、限界空間における魔術素子に関する疑問に答えるために研究を続けていた。限界空間、つまり結界により限られた空間では、超自然的魔力(マナ)がそこに固定される。しかし、消費された魔力はパトルオロビオスに回収され、またパトルオロビオスから供給されることで、限界空間内の魔力の総量は保存されると考えられていた。ところが、長い期間に渡り結界を持続する際、限界空間内の魔力総量が減少しているようにみられる現象が起きることがしばしばあった。これにより、限界空間内の魔力は、長い年月を経て変質してしまうのではという仮説が存在した。

 ヘイローはこの仮説に一つの解を与えるためにある実験を行った。1フィート四方の箱を用意し、そこに現実に使われる大規模結界を縮小化したものを施した。さらに、外側から時間制御の魔術(ヘイローの得意魔術の一つであった)をかけ、箱の内側の時間を現実の数十倍に早め、箱のなかの魔力の観察を続けた。そして三年間の観察の末、ヘイローは、限界空間内の魔力は使用されなかったとしても、穏やかに変質を続け、魔術的に無意味な魔力素子に変化すると結論づけた。この魔力素子のことをドイツ語でゼロを表す「ヌル」と名づけた。


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